カテゴリー: ユーザー訪問

  • ローデ・シュワルツ/協業で自動車業界向けソリューション強化

    グローバルに展開する技術指向のグループとして、90年以上にわたって最先端技術の開発をサポートし、技術の限界を押し広げてきたRohde & Schwarz GmbH & Co. KG.の日本法人、ローデ・シュワルツ・ジャパン(東京都品川区、代表取締役社長:ロバート・フローラー氏)は、日本の自動車業界にイノベーションの優位性をもたらすため自動車パートナーとの連携強化の一環として、メディアテックジャパン(東京都品川区、東五反田)とのパートナーシップを強化した。

    自動車業界はユビキタスな無線接続を提供し、常時接続車両を実現する上で非地上ネットワーク(NTN)が果たす役割を積極的に模索している。先駆的なチップセット開発企業であるメディアテックジャパン社の最新NR-NTNデバイスの機能は、R&S CMX500 5Gワンボックス・シグナリング・テスタによって実証された。R&S CMX500は、NR-NTN、NB-NTN、Direct-To-Cell(D2C、DTC)など、様々なNTN技術を試験するために設計された非常に汎用性の高いソリューションで、すべてが1つのユニットに収納されている。マルチバンドおよびマルチオービットのサポートに加え、展開されたネットワークとその関連パラメータを視覚化できる専用のNTNワークスペースを備えている。ローデ・シュワルツは、無線および自動車に関する豊富な知識と専門性を活かし、NTNに関連する新たな課題への対応、主要な車両コンポーネントの特定、そしてNTN対応車両の開発における試験の役割について解説する。

    欧州、北米、中国におけるMediaTek社とローデ・シュワルツのグローバルな協業は、日本でさらなる前進を遂げる。拡張されたスペースと強化されたエンジニアリング能力を備えた、大崎に開設したローデ・シュワルツ・ジャパンの新オフィスは、MediaTek社とのNTNの現地プロジェクトへの迅速なサポートを含め、日本の自動車パートナーにとってプロジェクトの可能性と件数の増加をもたらす。

    ローデ・シュワルツ・ジャパンのT&M事業本部営業部長である菅原則和氏は、「MWCバルセロナで5G NR-NTN技術をデモンストレーションしたMediaTek社との協調ソリューションは、日本独自の接続ニーズに対応するために現在調整されている」と述べた上で、次のように続けた。「当社では、昨年の12月3日に大崎に開設した新オフィスにNTNを評価するための設備を設置し、MediaTek社と緊密に連携することにより国内の自動車メーカが日本市場向けにカスタマイズされたNTNの車両接続を検証できるよう支援していく。また、今回設置するR&S CMX500 5Gワンボックス・シグナリング・テスタは、チップセットやモジュールからアンテナ、TCU、車両に至るまで、NTNの統合チェーン全体をテストおよび最適化することを可能にする」


    ▲車載用非地上ネットワーク試験
  • ユーザー通信215号_9面_デジタル加工のドアオープナー デジタル加工の現時点 <後編> 河田洋一氏インタビュー

    デジタル加工のドアオープナー デジタル加工の現時点 <後編>

    河田洋一氏インタビュー

    サンドビック・コロマント(本社=名古屋市名東区、山本雅広カンパニープレジデント)が押し進める「デジタル加工ソリューション」について、本紙前号(2019年12月号)では、同社デジタル加工製品担当の河田洋一氏による「全体像」の説きを〈前編〉として取り上げた。引き続き今回は、河田氏自身が表彰の場に臨んだ、日本機械工具工業会(以下、JTA)の令和元年度・技術功績大賞受賞製品『Silent Toolsプラス』の解説にフォーカスし〈後編〉としてお届けする―。

    ―デジタル工具としてサイレントツールを選んだ理由

    河田 サイレントツール(防振工具)そのものは40年以上前からありますが、今回新たに、工具の中にセンサーを直接内蔵することによって、加工中のびびり振動などのデータをモニタリングし、見える化しましょうという製品がSilent Toolsプラスです。

    センサーを使って加工をモニタリングしようというアイデア自体はサンドビックが最初に提唱したわけではなく、すでに実用化されています。特に工作機械メーカーでは機械に様々なセンサーを搭載しているので、加工のモニタリング自体は新規性のあるものではありません。

    ですが、機械のセンサーから実際に加工が行われている刃先までの距離が短ければ問題なくデータは取れると思いますが、工具や加工によっては、機械のセンサー搭載部分から刃先までの距離があるため、はたして機械に搭載しているセンサーで実際の加工データが正確にモニタリングできるだろうかという疑問があり、より刃先に近い部分にセンサーを入れる必要がありました。その意味でサイレントツールは、工具の突き出しが非常に長いため、センサー搭載に適していたわけです。


    ―話が工具に集約されていると前回の「全体像」に比べ、随分とユーザーにもとっつきやすく、理解しやすい

    河田 そうですね、工具の切り口となれば、ユーザー様にはわかりやすく受け止めていただいているようで、サンドビックのデジタル加工製品といえば、イコール、Silent Toolsプラスだと思われているフシがあります。もちろん間違ってはいませんが、実はそれ以外(ソフトウェアなど)もあります、と説明する機会も多いです。

    ―主な加工用途

    河田 常時モニタリングの必要があるユーザー様が対象になるので、高価なワークを加工されていたり、失敗のできない加工をされるユーザー様となれば、やはり航空機関連が多いです。また、センサーはあまり小さい工具では内蔵できないので、ある程度大きな工具に限定されてしまい、必然的に加工物も大きくなることからも、航空機関連が最もSilent Toolsプラスにマッチすると思います。

    いまのところ製品品目も限られており、対象となるユーザー様も多いとはいえませんので、どちらかといえばドアオープナーというか、デジタル加工製品で具体的に何ができるのかを見せるツールとしての役割もあります。

    ―JTA技術功績「大賞」受賞製品

    河田 センサーを内蔵した工具は既存製品にはなかったこともあり、そういった新規性の高さをJTAから評価いただき大賞を受賞することができました。デジタル加工という新たな分野を工作機械だけではなく、他メーカーも含めた切削工具業界全体に新たな道、可能性を切り拓いたというところも評価いただけたのだと思います。

    ちなみに、技術功績賞は従来からあったのですが、その中でも最優秀なものを表彰する「大賞」は昨年度から新たに設立されましたが、昨年度は該当する製品がなかったため、サイレントツールPlusが「初選出」ともなりました。

    ―「デジタル推し」の今後

    河田 サンドビックはこれからも「デジタル推し」ではありますが、デジタルだけで独立した売り上げをつくっていこうという考えではなく、基本は切削工具メーカーですので、従来から販売している切削工具がビジネスの中心になるのはこれから先も変わりません。あくまで主役は切削工具であり、デジタル加工製品によって従来ビジネスとの相乗効果を得るというのが狙いです。

  • ユーザー通信215号_10面_新春インタビュー タンガロイ 木下聡社長

    新春インタビュー タンガロイ 木下聡社長

     

    「プレーイングマネージャーであり続けたい」
    「モノ」売りから「コト」売りへ
    「航空宇宙産業」「ツーリング」の専門チームが躍動し実績伸長

    タンガロイ(本社=福島県いわき市)の木下聡社長に今年も新春インタビューに臨んでもらった。締め括りには「プレーイングマネージャーであり続けたい。社長という肩書きではあるが、自身で市場を回って世間の要求を聞くこともあるし、開発にも携わりたい。若い人たちとも話したい。そういう面でプレイヤーでいたい」と2020年の「個人的な志」にもふれた木下社長は、2019年度の概観と成果、新製品開発、「効率的な加工」、営業スタイル、設備投資について、次のように述べた ー。

    ― 2019年(12月期決算)の概観

    木下 中国とインドが精彩を欠いたものの、逆に欧米が少し伸びたことによりマイナスを埋め切れ、全体的には若干のマイナスで推移した。国内についても3~4%程度の減で、全体では5%程度の減で終えたと見ており、一昨年までの繁忙さから「落ち着いてきている」と表現したい。
    中国は予想以上に良くなかったが、他は意外に健闘し留まれたのかなと思う。切削工具は日々の消耗品なので、工作機械の投資に比べれば、まだまだ物の流れは続いている。自動車の減産など業種によってのマイナス要素はあるが、航空宇宙産業は対前年比で30%増と大きく伸長した。

     

    ― 航空宇宙産業向けが伸長した背景

    木下 タンガロイの開発では産業別の開発も行っている。これまで航空宇宙産業でのマーケットシェアはさほど強くなかったが、2年前に「航空宇宙産業グループ」を新設し、開発とマーケティングも含めた取り組みが実績につながっているのだと思う。
    また併せて、ツーリング専門のチームも新設した。5軸マシニングセンタでの加工がますます増える中で、効率的なツーリングを組むことは容易ではない。特に航空宇宙産業向けの部品は削り代(しろ)も大きく難しい部品も多い。そういう中で様々なシミュレーション、解析をしながらツーリングを組んでいくチームであり、お客様からの要求は一昨年の100件から昨年は200件超えと倍増している。

     

     

    ― 専門チームにもたらされる要求

    木下 工具とはリリースするだけでは効率的な使い方がなかなか叶わないので、例えば、お客様のワークの3Dモデルを見ながら対応を考えるのも工具メーカーの仕事だと思う。このようなロジカルな解析を元にツーリングを組んでいく。元々は航空宇宙産業向けに始めたが、自動車産業や自動盤向けなど、意外と様々な要求があることがわかり、チームをボリュームアップした。
    タンガロイの需要先はこれまで自動車産業の比率が非常に大きかったので、航空宇宙産業やエネルギー産業、メディカルなど広い産業分野に構成を分散するよう、産業別マーケティングを実施している。
    そういう面では、「モノ」を売るのと同時に、使い方やツーリングといった「コト」のサービスもする。「モノ」と「コト」のセットで取り組んでいく時代になってきたということで、そういったチームをつくっている。

    新製品の売上高比率の最終目標は65%

    ― 活発化したマーケティング活動の成果

    木下 航空宇宙産業からの要求が非常に大きいのと、ティア2も含めたEVやハイブリッド関連での薄肉小物部品の加工が増えてきており、その高精度化への要求が大きい。
    それらに伴って、自ずと開発要求もアイデアも数多く出ることから、一昨年、昨年ともに約50件の新製品を送り出すという良いサイクルを生み出している。新製品(5年以内の発売)については、売上高における比率は65%が最終目標で、常にそれをキープしたい。

    ― 5G時代に向けて

    木下 5Gをはじめ、インダスストリー4・0やIoTなど含め、デジタル化、データ化は、やはり急速に進むだろう。一方では3Dプリンターが画期的な進歩を遂げているので、そこも含めたマーケティングが重要になる。今後、削り代(しろ)は減少していくので、仕上げ加工へのシフト強化など、すぐではないにせよ、そういった流れは注視していく。
    工作機械にはセンサーが付いており、工具の抵抗や振動は感知できるので、デジタルといっても工具へのセンサー内蔵といった話はまた別として、工具の使用量やコストなど全てがデジタル化されることにより、タンガロイが常に提唱してきた「生産性工具」が正しかったということが明らかになってくるのではないか。

    効率的な加工が「クリアにわかる」時代に

    ― 国内での「効率的な加工」の浸透具合

    木下 本社・いわき工場へは、昨年は国内から1000人超、海外からも約600人と来訪者・見学者が訪れており、お客様から「効率的な加工をしたい」という要求が明確に出てくるようになった。その傾向は特に昨年、一昨年で加速しており、やっと日本国内に浸透してきた感がある。コスト競争や多忙によるアウトプット増が必要だったり、働き方改革による必要性など、全てが「効率的な加工」に回り始めているのではないか。
    同時に、国内のお客様が「デジタル化」した考え方に変わってきているので、どんどんと新しい提案をしていきたい。そういう意味では「やりやすい」環境になってきている。在庫管理にしてもコストにしても、全てが数値で見られる時代になってきている中、ありがちな「過去の関係」だけではなく、「高価な工具でも使ってみればコストダウンにつながる」といったことが「クリアにわかる」時代になってきたということ。
    繰り返しになるが、「コト」を売るのは、結果的にはお客様のメリットになる提案なので、「モノ」を売るための「コト」のサービスを高度化したい。

    提案型・技術営業の成功者を横展開

    ― そんな時代の中で目指す「営業」スタイル

    木下 タンガロイの中でもトップセールスが共通して行っている行動パターンがある。どうやってお客様に提案するか、お客様の痒いところを見つけるか、といった観点でこれを分析し、そこからお客様の課題を「予知」して、ソリューションを提案することに重きを置いている。本当の提案型営業、技術営業の成功者を横展開するような感じになると思う。

    ― 「分析して、予知する」・・・とはAIそのものような ?

    木下 そうともいえるが、やはりそこに人間性を持たせていかなければならない。パターンにカッチリとはめるのではなく、それぞれの個性も含めて。併せて、新製品発売がさらに増えることも考慮し、タイムリーに技術教育を行い、工具メーカーとしてのハイレベルな提案営業、技術営業への転換を加速する。

    「自動化投資は却下しない」

    ― 工場設備の投資状況

    木下 一昨年以来、欠品や納期遅延といった大きな問題もなく推移できているのは、設備を頻繁に先行投資しているからであり、今年も継続していく。他社メーカーを見渡しても開発投資を加速しているが、その中でも先行し、もっと加速していきたい。特に「自動化投資に関しては却下しない」。増産投資は売れ行き次第の面もあるが、自動化投資は常に進めていけばよい。

    ― コンペティターの状況を見て

    木下 中国の工具メーカーが力をつけてきている。業界としてはこれまで、先進国メーカー、日系メーカーによる切磋琢磨だったが、その中に中国サプライヤーが出現してきた形だ。大規模投資をしており、品質も向上していると感じる。

    ― 国内シェアの実感

    木下 私自身はあまりシェアは気にしないのだが、「タンガロイのファンは増えている」実感がある。それは新しい提案をして、一度でも良い経験をした方が増えているということ。ヘンな言い方だが、シェアの増やし方にはいろいろな方法がある。だが、タンガロイの商品に魅力を感じていただけるお客様の数を少しでも増やしていくことが重要だと思う。

     

  • ユーザー通信203号 2019年スタート! 積極投資のハイライトは「開発のスピ ードアップ、マーケティングへの注力」

    タンガロイ(本社=福島県いわき市好間工業団地)が、多国籍企業グループのIMC(International Metalworking Companies B.V.)にグループインして今年で11年目を迎える。この10年間でのタンガロイ自身における変革や日本市場の変化を、木下聡社長に聞いた―。

     

    開発投資こそが企業永続の道

    ―この10年間での最大の変化は

    木下 タンガロイが大きく変わったのは、やはり、開発に積極的に投資を始めたということ。近年では他社に比べ、より多くの新製品の発売を続けているが、開発こそが、企業が唯一、永続できる道ではないか。それには当然、過去のISO規格ではない、ほぼ全てが開発対象となるので、形状の制約などもなくなった思想で開発し、タンガロイにつくれる技術があるからこそ、マッチングし、成長できたのだと思う。

     

    ―そういったスタイルはいつ頃から

    木下 2008年にIMCグループ入りし、私が社長に就任した14年にはベースができており、技術出身(08年当時は材料開発の部長)なので、「お客様が求める良い製品を、いかに短期間で開発するか」ということに専念してきた。

     

    ―昨年の新製品発売件数は

    木下 約45件。一昨年が約30件、その前年が43件。それがお客様の求めるものであれば拡販できるし、求められなければ衰退していくものもある。

     

    ―市場性とのマッチング率は

    木下 失敗といえるのは10%未満ではないだろうか。そもそも失敗をリスクとは考えていない。広い国、広い産業に向け販売しているので、ある国では売れ、ある国では芳しくない商品があるのも事実だが、そんな浮き沈みを見据え販売国を増やしているし、産業も自動車だけに依存しないようにしてきている。
    例えば中国リスクがあっても、製造販売業としては他の国でリスクヘッジができる。自動車産業が衰退してきても他の産業でリスクヘッジするというように、やはりテリトリーを広くすることが奏功している。

     

     

    日本人を配置せず現地人がローカルに売る

    ―10年前に比べ販売国はどれだけ広がった

    木下 3倍は広がった。いま27ヶ国に現地法人を持っているが、以前は、欧州であればドイツの1社が全てをカバーし、どちらかといえば、日本人が社長を務め、現地の人を使い、日系メーカーをメインに販売していたが、いまは各国に日本人をほぼ配置せずに、「現地の人がマネージメントし、現地の人がローカル(の企業・人)に販売」している。
    これにより、新商品の売れ行きがすごくスピーディーになった。各国の異なるマーケットやトレンドの情報も入るので、そういったノウハウもIMCグループに入って得た面が大きいと思う。

     

    ―最も浸透している新製品

    木下 まず、かなり注力したのが転削工具で、かつてのタンガロイは旋削工具が得意だがミリングは弱かった。そこを急激に開発品で補強した現状がある。旋削を落とそうとしているのではなく、弱い方面のアップに軸足を置いて臨んできた。

     

    日本市場で加速度的に高送り加工が浸透

    そんななか、日本市場でいま一番浸透しているのが、高送り工具(HIGH‐FEED MILLING/ハイフィード ミリング)で、これはタンガロイが世界で最も早くコンセプトをつくったという自負がある。
    そのレパートリーをますます拡充している剛性が高い工具だが、機械が小型化するなか、切り込みを落として送りを上げる加工は、いまの世の中に非常にマッチしている。
    お客様にわかりやすいコンセプトであり、使っていただければ、加工能率が確実に上がることから、日本のみならず、世界中で浸透してきている。コピー商品等も出現してはいるが、やはり「先駆者」として、ますますアップグレードを続けている。

    ―その傾向への加速度はいつ頃から増した

    木下 5~6年前か。当初のコンセプトは10年ほど前にはあり、海外では販売網を整備すれば早く浸透したが、日本では海外に比べると、工具の切り替えがなかなかスピードアップしなかった。
    だが、景気が良くなり、IT等の発達によりデータベースによって、どういった加工がコストダウンになるかを、日本のお客様もわかりはじめてきたうえに、我々もそういったプレゼンを始めたのがその頃(5~6年前)だった。

     

    ―今後の日本市場で浸透すると見る製品

    木下 いま注力しているのが、穴あけ工具と溝入れ工具で、基本的には、タンガロイが昔弱かったところを補強しようとしており、それに対する新しいコンセプトの商品が結構、市場に浸透し始めている。俗に「自分の弱い部分は自分が一番よくわかっている」というが、そこを開発で補強していくという流れで、先述のとおり、ミリング工具はフルラインナップができ、ほぼ補強が完了、解決したので、他メーカーに比べてもアドバンテージがある。

     

    ―こう見ればさまざまなターニングポイントが5~6年前だった

    木下 BtoBなので、従来はマーケティングへの注力が不足していた。お客様にどう理解していただけるかといったプレゼン、工場見学やデモ加工など、開発、製造、販売だけではなくマーケティングにも力を入れ、人を増やしていった。

     

     

    売上高の5%を開発に投資

    ―開発の予算と人員の比率

    木下 売上高の約5%が開発費用。それが多いか少ないかといえば、昔のタンガロイに比べればはるかに多い。売上高が伸びているので、開発のスピードを上げるためのシミュレーションにもかなり投資をしている。また、人員としては全従業員の約10%が開発者。

     

    ―開発人員を集めるのは難しい

    木下 ただ、大卒者の新入社員は目標通りに採用できている。福島県(いわき)に本社があり、研究の中核もあるということで、意外と、東北の大学から来てくれている。

    ―日本市場のIMCへの伝え方

     

    木下 世界のなかで日本が優れているのは、自動車と工作機械。そのマーケット情報は日本で得て、開発し、世界中に、特殊品もツーリングサービスも含め、タンガロイ製品として、発信している。

     

     

    通販伸長するなか「工具は『使い方』が大事」

    ―新しいコンセプトのタンガロイ製品を「売る」理解

    木下 タンガロイからの発信や、世の中のトレンドを理解している特約店様は伸びている。「世の中は変わってきているのですよ」というメッセージをどんどん発信させていただいているので、かつてのように、「これを売れば、ユーザーが勝手に使ってくれる」ではなく、効率的にコストダウンできる使い方をユーザーに教示しないといけない。
    通販が伸びてきているのは事実だが、「工具は『使い方』が大事」なので、そういった部分にマーケティング活動として費用をつぎ込んでいるなか、販売店様が、もちろんユーザー様を伴った工場やセミナーに来ていただけるのは、非常にありがたい。

     

    ―グループ内での競争とシナジー

    木下 それぞれが自社で開発チーム、製造工場を持ち、市場では完全に競合他社。世界的なマーケット、トレンド情報をもとに、コンセプトは一部共有しながらも、それをどう扱うかといった「路線」は別。
    IMCグループで世界の切削工具シェアは約30%なので、それを分け合っても何のメリットもない。それよりも残りの7割を取りに行くアクティビティをもった方が良いという考え方。

     

  • ユーザー通信191号 工場、ついて行ってイイですか?

    工場、ついて行ってイイですか?

    小田製作所【大阪・富田林&大阪狭山】

     

     

     

    展示会場から即興で向かった工場では、近畿圏では2社のみに現存する稀少な「スウェージングマシン」が活躍していた!

    10月初旬、大阪南港のインテックス大阪で開かれていた某ものづくり専門展で、本紙の来場者取材の求めに応じた小田昭彦社長は、金属小物プレス加工やブレーキ曲げ加工、タップ立てなどを生業とする。

    聞けばその所在地は、大阪南部の中核都市、富田林市。たまたま、記者とは帰宅方向が近いということで、取材の勢いそのまま、「見てほしい機械がある、今から工場へ案内する」と、なんと即興で招かれることになった。

    車に同乗し辿り着いた先は、堺市の最東南・美原区と大阪狭山市のほぼ境界線上。富田林市ではなく、ここが2年前に操業を開始した、小田製作所の第2工場とのこと。

    実はこの工場の中では、近畿圏ではたった3台しか現存しないマシンが活躍していた。その機械とは、スウェージングマシン。マシン自体は2台設備しているが、そのうちの1台が「この太さ(Φ40mm)を加工できるところがない」稀な機種だという。

    さらに、「厳密にいえば、3台中1社は実質の廃業状態なので、2社でしか現存しないことになる」と小田社長。
    後継者不足により廃業を余儀なくされた元の持ち主から、共通の取引先を介して入手、導入し、スウェージングマシンとともに仕事ごと引き継いだのが約2年前だった。

    「周辺(堺近郊)はパイプ加工関連の事業所が多いこともあり、正直、仕事は獲りにいかなくても『これ、見積ってくれる?』といった感じで、ペース良く流れてくる」。

    スウェージングとは回転冷間鍛造、圧延。マシン自体は、新潟の三条地区をはじめ全国規模でみれば、その数は決して少なくはないものの、「広義でいえば、注射針もスウェージング加工によるもので、卓上型の機械のニーズは多い」そうだ。

    現状、小田製作所では、パイプ椅子の部品などをメインに、「要は、円筒形で徐々に細くなっていくもの」の1次加工を担っているが、すでに「曲げ加工など2次加工も視野に入れている」と拡大基調を示す。
    事実、同社では折しもこの第2工場稼働と符号するかのように、ここ2年間で売上高は約3倍に伸びたという。

    富田林市の本社工場では、ほぼ時を同じくして、ロッカーキーのねじ止めを用途とするワッシャーの生産を始めた。
    この案件は、メーカーが元々は中国に出していた仕事だったが、中国の外注先では量産には応じるものの、最近、単価の上昇が著しいうえ、なにより一番の問題は不良率が高い(例・年間100万個のうち約30万個がアウトのケースも)ことだった。それに対し小田社長は、
    オーダーマシン(タッピングセンタ)による自動化、全品ゲージチェックも可能をメーカーに提案し、仕事を取り込んだ。
    「単価はキツい(中国単価に近い)ものの、0・2~0・3%程度の不良率は問題なし」と、従来にはなかった仕事が新たな柱にもなりつつある。

    第2工場に話を戻せば、スウェージング加工では、やはり中国での生産が大半とはいえ、一部、国内に残っている仕事を引き継いだものもあり、「いずれにせよ、やはり量産品になればなるほど、中国事情が絡んでくる」としたうえで、「最近、形状が変化してきているバイク用のバックミラーの仕事も、すでに手掛けだしている」など、同社では総じて、「それだけではやっていけるわけではない仕事の集合体」が業績を押し上げているといえる。
    ひょんなことから突如、小田製作所を訪ねた時期は季節柄、そして場所柄、「ちょうさじゃぁ~、ちょうさじゃぁ~」と地車(だんじり)曳きの掛け声が響く中だった。
    余談ながら、この「ちょうさじゃぁ~」の語源とは、幕末の「長州(ちょう)と薩摩(さ)が来たぞ~!」と民衆を煽る声=お祭り騒ぎ、に由来すると聞いたことがある。
    それになぞらえば、小田社長にとってこの掛け声は、「また新しい仕事が来たぞ~!」とも聞こえているのかも知れない。

  • サンドビックユーザー「光陽機械製作所(広島県福山市)」

    サンドビックユーザー「光陽機械製作所(広島県福山市)」

    141SV1 例えば、チョコレートは1兆円産業といわれるが、その内、5千億円はバレンタイン市場だといわれる。それを鑑みれば、食品自体の市場は元より、取り巻く機械産業も含め、その市場規模はとてつもなく広く、大きいとの察しがつく。

     

     

    写真:「ステンレスが大半」の加工を支えるサンドビック製切削工具

     

     そんな中のひとつに、食品加工機械メーカーの光陽機械製作所(広島県福山市)がある。
     バームクーヘン焼機、巻きせんべい自動充填機、ピザソース塗布機・・・と、同社の製品群をザッと見ているだけでも、正直「楽しい」。製造できる食品例でも、シュークリーム、ロールケーキ、プリン、蒲焼・焼鳥タレ、コンビニのおにぎり、レンジ麺、食べるラー油等々と続くから、なおさらだ。
     このような菓子類、パン類などの「注入・充填・塗布・絞り」といった、製造・加工作業を効率化できる機械、装置の製造・販売を手掛ける同社は、特に「充填」分野への特化で、業界内での地位を揺るぎないものとしている。
     元々は、さほど競合他社は多くないとのことだが、「最近では塗布、絞りなどの分野のニーズも増えてきているが、やはり、充填分野のニーズは比較的多いので、特化した中での同業他社の追随が増える中、競争は激化している」と近況を話す、同社機械課の小畑伸夫氏。
     そんな中、「当社製のカートリッジポンプが、ここ10年以上、高いシェアを取っており、どちらかといえば『追われる』立場」だと続ける。
     「当社製のポンプは『分解・洗浄性』に優れた構造を採用しており、これが長く評価されているポイントだと思う」と自社の特長に触れるが、何よりの「強み」として挙げるのが「自社製造」という点だ。
     「大体が委託生産で、製造工場、加工現場を持っている他メーカーは少ないと聞いている。その点、自社製造の当社では部品供給などのスピードも速い」。
     業界でも稀少な「自社製造」の現場では現在、NC旋盤2台、複合旋盤1台、マシンニングセンタ2台(以上、ヤマザキマザック製)、横中ぐり盤(東芝機械製)が軸となり活躍しており、「特殊な刃物というよりは、基本的な旋盤チップをメインに使っている」という切削工具は、サンドビック製が多くを占めている。
     かつては、複数の国内他社メーカー製が主流だったが、「ユーザーさんからの『短納期、コストダウン』といった要求の高まりを考慮したとき、やはり、切削スピードが不可欠となってくる。だからといって、周速を上げれば良いというものではなく、刃持ちも良くなければ困る。そういった追求をしていくうちに、サンドビック製品に行き着いた」と、導入経緯を語る。
     約10年前、NC旋盤の新規導入時に「加工能力がアップすると思う」と、出入りの機械工具販売店から、併せて提案を受けたのが最初のきっかけ。以降、急速にサンドビック製品の使用シェアは増していった。
     「短納期、コストダウン」に跳ね返る追求をした結果の採用だったが、当初、製品の「割高感」という世間的なイメージに対しては、やはり、気にかかったとも振り返るが、「そういった面よりも『お客様にしっかりとした製品を提供したい』という意識が凌駕している」と言い切る。
     また、サンドビック製品の優位性は、食品関係「だからこそ」のバックボーンによるところも大きい。それは「ステンレス加工」が大半だということだ。いわゆる「錆びない」など「食品衛生上」ステンレスが使われるのは必須だ。  「鉄系材料に比べ、切粉処理が難しい。穴あけにしても、巻き付きやすい。穴ぐりでも、出てこない。当然、刃物の寿命が悪くなるなど、とにかく『ロス』が多い」。
     以前は「あまり、むちゃはできない」と、切削スピードや送り速度を落とすなど「苦戦していた」が、現在、旋削用チップ(2025、1125など)、肩削り用カッター『コロミル390』、正面フライスカッター『コロミル245、345』、刃先交換式ドリル『スーパーUドリル』、溝入れ用チップ『Q‐カット』等々を日々、駆使する中、「明らかに効率が上がった」というサンドビック製品に対し、「『注入』分野では、穴ぐりが重要。細物・小物ワークが多いので、小径のレパートリーをさらに充実させてほしい」との要望も付け加えながら、「刃先の信頼性を感じている」と絶賛する。  近頃のテレビ番組では、食品メーカーの製造工程に「潜入」し、バラエティ化する傾向が多く見受けられる。それらを見るにつけても、「お客様からの提案は尽きない」(小畑氏)との言葉にはうなずくばかりだ。今秋、新たな機械棟が稼働予定であり、ますます「強み」に拍車がかか
    ユーザー通信141号(2013.9.1)掲載

  • ミツトヨ製三次元測定器ユーザー「友栄精密(大阪府富田林市)」

    ミツトヨ製三次元測定器ユーザー「友栄精密(大阪府富田林市)」

    139mitsutoyo2 友栄精密は各種機械部品、試作品などの加工・制作を単品から量産まで対応し、何より、材料手配から切削加工・熱処理・表面処理・研削加工・型彫・ワイヤ放電・仕上げ加工・検査といった、生産全工程を「一貫生産」、「一社完結」する体制を最大の強みとしている。

     

     

     


    写真:スクロールの制度測定

     試作では空調器用精密部品、光学部品、水力ポンプ部品、自動車部品、機械部品、また量産加工では半導体用部品が取扱製品となるが、この強みは同社にとっては、兼ねてより「あたり前の仕組み」であり、昨年秋に出展した「関西機械技術要素展」では、また新しい顧客を引き寄せる大きな要因ともなった。しかもその企業は「お膝元」ともいえる場所に所在する、世界有数のアウトドアスポーツ用品会社(※ウィキペディアによる表現)だ。
     「灯台下暗しというか・・・正式な取引までには時間も要したが、このような大手さんでも『旧来の外注のお抱えでは、ものづくりは変わらない』との意識で、常々、新たな外注先を探している。それに当社が叶ったということで、まだまだ『困り事』が多いのだなと実感している」。
     そんな同社が位置するのは大阪南部の富田林市。多くのプロ野球選手を輩出した高校野球の名門校や、日本最大級と称される花火大会など、ある意味「稀有な存在」が目立つ同市だが、友栄精密もまた同様。
     その筆頭格が「スクロール加工」であり、この仕上げ加工が出来るのは「関西に2、3社しかない」というから、まさしく希少だ。
     「入社当時(25年前)は、開発品の仕事で、某空調器メーカーへの、完全に『一社依存型』だったが、そのメーカーが拠点を中国、タイに移すに連れ、自社開発に切り替えたことで、一気に仕事がなくなった」。
     時は折りしも、大手家電メーカーの再編期でもあった。だが、これが奏功する。
     「自社開発が手一杯となった親会社メーカーが、当社のスクロール加工技術に白羽の矢を立てた。その後はやはり、冷熱関係での電機メーカーにも取引を拡大するなど、当社が『生まれ変わった』のがこの時期(2002年)でもあった」。
     こういった変遷からも、スクロール加工の外注が育たなかった原因のひとつは、メーカーでの内製が多かったためとの背景が伺い知れるが、また別に「測定能力が必要」とも指摘する。
     「スクロール加工には高精度保証の裏付けが必須。かつては、渦巻部輪郭精度は±10μmの時代だったが、今では、その精度は±4μmの世界。加工はもちろん、測定にも非常にノウハウがいる。お金は生まないが、保証はしてあげないといけない(笑)」
     同社では、量産対応型複合加工機『SuperNTY3』(中村留精密工業製)など、昨年だけで総額約2億5千万円の設備を投資したが、その中では、ミツトヨ製三次元測定器『Crysta‐Apex S544』も導入され(*ミツトヨ製検査設備は全9台所有)、研削部門として99年にグループに加わった、トキワ精工(大阪市西成区)内に、現在は設置されている。
     「対顧客のみならず、製品をつくるための自社設備精度の維持、把握にも効果を発揮している。もちろん、精度保証が出来ることにより、様々な受注が伸びているのは確かだ」。
     現在、同社は「難形状」「高精度」「難削材」(チタン、アルミなど)を3本柱とするが、「大阪府内で、なんでもかんでも削れるところは少ない」と繁木工場長。Crysta‐Apex S544の存在もまた、その自信に拍車を掛ける。  尚、設備投資では11月にも5軸MC『DMU85monoBLOCK』(DMG製)の新規導入を予定している。この様子を「設備投資は、以前は3年に一度の更新がやっとだったが、ここ5年では、新会社をつくったのと同じようなもの。リーマンショック後、『ドサ回り』のように、1ヶ月で30~40件を新規営業し、情報が豊富になったことや『宝くじに当たったような仕事』などもあったことなど、すべてに甲斐があった」と最後は、営業部長兼任の顔も覗かせた。
    ユーザー通信139号(2013.7.1)掲載

  • シギヤ精機製作所製ユーザー「和光技研工業( 愛知県)」

    シギヤ精機製作所製ユーザー「和光技研工業( 愛知県)」

    138shigiya1 「B787」の商業運航再開が、目前と言われている。自動車関連を中心とした国内の加工現場の回復が、じりじりとしか進んでいない状況を見ると、航空機関連産業の活性化につながる情報は喜ばしい話だ。特に、工具メーカーにとっては、関心事が高い。
     愛知県刈谷市の和光技研工業は、各種金型の設計製作を行う金型事業部を中心に、ドリルやリーマなどの穴加工工具、特殊工具の設計製造販売を行うツール事業部、生産ライン上の各種治工具や専用機部品の設計製作を行う工機事業部など、ものづくりにかかわる幅広い事業を行っている。
     ツール事業部では、1982年から超硬工具の外販を本格化。再研磨業と並行しながら特殊工具の新作販売を 

    写真:シギヤ精機製作所「GPV-10・20」

     かつての主要顧客は、自動車産業が中心だったが、「特殊工具」の製造実績を増やす中で、顧客が多様化。現在では、航空機関連ユーザーに向けた工具の開発が中心となってきているという。
     工具の供給を通じて、長らく遅れてきた「『787』の製造の本格化が間近だと感じる」とツール事業部の伊藤司部長は言う。
     「国内の各重工メーカーさんは、航空機の増産体制を整えつつある。各社そろって月産7~10台体制になると噂されている。当然、工具需要は拡大すると思われるが、工具メーカーとしての供給責任があり、設備の増強は課題となっている」
     現在、同社が生産する工具の中で、航空機関連向けが占める割合は、50%程度。注文頻度の低いものまで含め、総アイテム数としておよそ150種類あるといい、月平均では60種類弱製造しているという。単純計算で平均をとってみると、1ロット20本程度になるという。中には100本程度ロットの纏まるものもあるというから、逆に、1桁単位での注文も少なくない。特殊工具の製造に強い同社ならではの、段取り替えが非常に多い現場だ。
     「ここ最近、忙しい毎日が続いている」と生産①グループの福島新悟GL(グループリーダー)は話す。
     「当社の強みは培ってきた技術を生かしてニッチなニーズの特殊工具を作れる点。ロー付け工具も多い。最近では、Φ175㎜のTスロットカッターが例。スチールシャンク芯の部分に超硬部材をハメ込んでロー付けするのだが、寸法が厳しい上に、何度も焼入れする必要があって手間がかかる。もちろん超硬チップもロー付けするわけで、作業者の技量に掛かる工具の代表格と言える。このような手離れの悪いものが多いために、生産性の改善に向け、新しい設備を探し始めていた」
     どうしても手間がかかる作業が多い現場で生産効率を上げるには、ボトルネックとなっている工程を見つけ出し、手間のかからない作業の自動化や工程短縮がカギとなる。同社では、海外製のローダー付きの工具研削盤を用いて、ロットがまとまった工具製造の24時間体制は整えているものの、工具製造の前段取りである「ブランク」の製造工程で苦しんでいた。
     「ブランクの加工は、従来から、汎用機を用いて行っていた。これでは、人が居る時間しか加工ができない。自動化を考えながら設備の選定をしていたところに、シギヤ精機製作所さんの『GPV‐10・20』を知った」  ある展示会で小さな立形研削盤の前に人だかりができていたことを、伊藤部長が思い出して引き合いを出したのだという。
     紆余曲折を得て導入されてきた「GPV」を目にして、担当のオペレータとなった同事業部の佐田有祐さんの第1印象は「小さいな」。
     「従来使っていたものと比べると、その小ささに驚いた。我々のようなキャパに上限がある工場では、設置スペースは非常に大事な要素。仕事が増え、物が増えると置く場所がなくなっていく。特殊品が多い仕事柄、汎用機をゼロにするわけにはいかず、機械の台数も増やさざるを得ない。最初、他社のNC機を導入したが、そのメーカーさんで一番小さなものであっても、工場に来るとやはり大きい。そのような中で、シギヤさんの『GPV』はすっきりとしていて、非常に良いと思った」
     いざ使い始めると、使い勝手も問題がなく、精度も安定していた。
     「機械そのものの能力は高いと思う。立ち上げのときも、最初の4日ほどのトレーニング期間を終えると、すぐに順調に稼働し始め、寸法も安定していた」
     「自動化を考えると、使い勝手のよさそうな機種だと思う」と福島GL。「ロボットと『GPV』複数台を組み合わせれば、かなり効率的にブランクの加工を行えるようになる。ただ、スタッフの平均年齢が30代半ばの若い職場で、各人のスキルアップが課題。汎用機の知識があっても、それをNC化する中で、勘違いなどがある。『GPV』でも、短尺ワークの加工ではなかった芯ブレが長尺ワークの加工で出てきて課題となっている。仕様を変更することで解決するとは考えているが、技術的に解決できる道も探りたい。シギヤさんは、NC機でも『マイスターハンドル』を付けた汎用機仕様の『GPH』シリーズなども開発されており、職人がとっかかり易いNC機械の開発をされている。当社の問題解決にも、サポートを期待したい」
    ユーザー通信138号(2013.6.1)掲載

  • 濾過システム『Ecolo Matic Filter』ユーザー「ギケン」

    濾過システム『Ecolo Matic Filter』ユーザー「ギケン」

    138mytec 「人絹王国」とも称されるように、太古の昔よりテキスタイル製品が主要産業となっている福井県。その県立公設試験研究機関のひとつ、福井県工業技術センター(以下、センター)から、あるオファーが発せられたのが4年前のこと。
     それは、繊維は繊維でも「炭素繊維強化プラスチック=CFRP」の穴あけ加工に対するドリルで、福井県が特許を持つ特殊形状ドリルの試作だった。
     硬い層と軟らかい樹脂との「編み」合わせであるCFRPは、金属に比べ軽量で強度が高く(比重で4分の1、強度で10倍)、金属部品に成り替わり、90年代以降は航空機や自動車産業などへ、その用途を拡げているのは知られるところだが、同時に、その穴あけ加工に於いては、工具の刃を著しく摩耗させ、バリの発生やデラミネーション(層間剥離)を引き起こす・・・といった課題までをも含めてが、その「特性」といえる材料だ。 

    写真:エコロ・マチック・フィルター

     これら、加工コストや製品強度に直結する問題点を解決すべく、名立たる大手切削工具メーカーをはじめ数十社に声掛けがなされた中、結果的に「唯一、受ける」ことになったのが石川研磨製作所(東京・品川区)であり、後に、特許の実施許諾と技術移転を受け、新たに「ギケン」との名で別会社を設立、福井県坂井市にも根を下ろした(平成24年5月)。
     「当時、CFRP加工用ドリルといえば、大手2社だけが手掛けており、片や受注生産品、もう一方は標準品だったものの、40穴しか穿孔が持続せず、しかも1本で2~3万円と高価だった」と石川義一社長は振り返る。
     この40穴を基に、試作を請負った初年度には、まずはその倍の80穴を目標とし臨んだのだが、実際にはなんと、その10倍である「800穴」を達成。途中、「もちろん、想像を絶する困難な開発だった」との感想は抱きつつも、この新しいドリル形状の開発は、以降、2年目に1600穴、3年目には2000穴超え、と順調に実績を積み重ね、『GK ハイブリッドドリル』の誕生となった。  「直近、3000穴まで至っており、完成度は高い。形状もほぼ完成している」。  同製品には、ナノダイヤコートとノンコートがあるが、これまで不可能だったノンコートでのCFRPの穿孔に成功し、「300~500穴でもバリが微小で、デラミネーションも熱も出ない」といった点は特筆される。また、ノンコートの価格についても「ダイヤモンドコート付きの約3分の1程度であり、再研磨も可能になるため費用対効果も良い」と続ける。
     センターではこれまでに他社製ドリルでの穿孔試験を行ってきたが、「やはり、1000穴は持続しなかったと聞く」中、センターを「良くも悪くも?」最も驚かせたのは、同社の設備状況だったという。他社での、ワルターなど海外の工具研削盤メーカーの新鋭機が「万全に」設備されての状況とを見比べてのことだ。
     「センターの研究担当者が当社の設備群を見た瞬間『エッ?・・・』と首を傾げた。その当時、CNCでは牧野フライス精機製『CNJ2‐W』が1台あっただけで、他社に比べて遜色があると映ったのだろう。そんな当社で研究開発通りの製品がつくれていることに対し『不思議感』を漂わせていた」。
     こうして、「バリ取りの二次加工がなくなる」という、従来の常識を覆すCFRP穿孔ドリルを「現実につくってくれる唯一の」メーカーとなった同社に対しセンターから、ナノダイヤモンドコート付きで2500穴(板厚5㎜)を達成した平成23年の秋、今後、福井県と共同研究を行いたいとの思いから、「はじめてこの地に来たのが昨年の3月だった」と事は運ぶ。現在は、CFRP、CFRTP、鉄、アルミ、ステンレス、アクリル用バリなしGKハイブリットドリルがある。
     昨年9月移転の新工場での設備は品川本社からの移設分の他、昨秋には、ZOLLER製測定機などが新たに加わったが、CNC工具研削盤では、ANCA製(RX‐7)の初導入に伴い、研削液のスラッジを濾過するフィルターシステムにも「拘り」を見せたという。
     これまでの濾過装置は、「原因がよくわからないのだが、ある日突然、キレイにならなくなる。何より、メンテナンスに『手間』がかかるのが困る」が常だったという中、推奨の付帯機種ではなく、今回敢えて選んだのが、マイ・テクノス社製『Ecolo Matic Filter』(エコロ・マチック・フィルター)だった。  エコロ・マチック・フィルターとは、従来とは違う独自方式によるフィルター部の設置方法や形状などにより「重くなったスラッジをフィルター部から剥離分離することで下部へ排出しながら濾過を行うシステム」であり、平成20年の販売開始以来、全世界で400台以上の出荷実績があり、現在でも「ノークレーム」を続ける「ものづくりの町・東大阪産100%」の濾過システムだ。
     知るきっかけとなったのは、都内の同業他社の工場内で目にしたことから。「今、面白いフィルターがある。これに勝るフィルターはない」などの助言もあり、また「理論的に理に適っている」と採用に至った。
     これまでの約半年の使用感を、「元々、週に2~3度のバルブ開閉でスラッジ排出をするだけの簡単メンテを、価格は同じで、それを自動化してもらった。また、これら性能も去ることながら、人的な細かいアドバイスやサービスが適格。何しろ、特殊なつくり方、モノばかりなのでありがたい」と話す評価はそのまま、5月末にさらに新規設備した、牧野フライス精機製CNC工具研削盤「AGE30」へのリピートで証明されているといえる。
    ユーザー通信138号(2013.6.1)掲載

  • ニイガタテクノユーザー「TMTマシナリー松山工場(愛媛県)」

    ニイガタテクノユーザー「TMTマシナリー松山工場(愛媛県)」

    138NIGATA 合成繊維製造設備の業界では、この10年、日本のTMTマシナリー社とドイツのバーマーグ(BARMAG)社との2強時代が続いており、僅差でシェアを競り合っている。
     TMTマシナリーは、国内の合成繊維製造装置メーカー大手3社であった、東レエンジニアリング、村田機械、帝人製機(現ナブテスコ)の繊維機械部門が2002年に統合して起ち上げられた。合成繊維製造設備の開発・設計・製造、販売およびアフターサービスが主要事業で、合成繊維製造機械のトータルメーカー。大阪に本社を構え、京都にテクニカルセンターを、滋賀の大津と愛媛の松山に製造拠点を構える。
     松山工場は、同社最大の製造工場。資材が搬入されて以降、機械加工、組み立て、検査、出荷に至る一連の設備が整っており、一通りの製品製造を行う。
     合成繊維は、主として製造工程中に熱処理を行う高強度の糸「FDY」と一般的な強度の「POY」とに分けられる。「FDY」はタイヤコードやシートベルト、編機など、高い強度を必要とする分野向けの糸で付加価値が高い。同社はこの「FDY」の製造設備に強く、世界で高いシェアを持つ。一方、「POY」は熱処理工程がなく、巻き取り後に様々な用途に合わせて加工され比較的需要量が大きい。この市場は今後も拡大傾向にあるため、同社では、「POY」製造機械の販売シェア拡大を目標に掲げる。糸需要が高まる中で合成繊維設備機械の需要も高い水準を維持。リーマンショック後の回復も早く、ここ3年では右肩上がりの売り上げを続けてきている。  合成繊維の製造能力は、糸を巻き取る機械である「ワインダー」の能力に左右されている。メーカーは、このワインダーの開発に力を注いでいる。
     近年、衣料の製造現場は、中国に集中している。競争は激しく、生産量を上げてコストをより低減するために、糸の製造能力向上を図る企業が多くより高速で効率的に糸を巻き取れる高性能なワインダーを次々と設備投資している。最近では、1台のワインダーに、巻き取り芯(ボビン)を4本備える高性能機「MANTAⅡ」などが売れ筋となっている。
     ワインダーに求められる性能は、高速巻き取りに加えて、「巻き取り品質の高さ」と同社松山工場生産技術課の石丸徳希課長は言う。「糸は、フィラメントと呼ばれる直径10μm程度の細い糸の束で構成されており時速330㎞程度の速度で連続的に巻き取られる。巻き取り中は、糸切れはおろか、フィラメント切れも許されず、連続的に巻き取るために、糸の張力やパッケージ形状を精緻に制御することが求められ、回転体の高精度制御技術や振動抑制技術が必須。このあたりの技術は、当社が、TMT以前の3社時代からの『糸』に関する様々なノウハウを長年培ってきたからこそ成しえるもの」。
     このような微妙な制御を、実際に製品として成立させるには、機械そのものの精度も高くまとめる必要がある。当然、「機械部品の加工精度も、非常に厳しいものが多い」と同課の中矢尚樹主事は言う。
     「ボビンは、パッケージを何個設定するかで長さが変わるが、長いものでは2m近くなる。パッケージの交換を素早く行うために、ボビンを片持ちに設計することが基本だが、長い円筒状のボビンを高速で回転させるわけだから、振動の問題は不可避。振動が起こると糸品質を著しく低下させるため回転体の部品精度には最も気を遣う。フレ、真円度、同軸度など、μm単位で仕上げなければならない」
     同社ではこの数年、増産に向けた設備投資を行い続けて来た。直近では、2011年以降、20台近くの工作機械を導入している。その内の3台が、ニイガタマシンテクノ製の横形マシニングセンタ。最初は11年9月に「HN63E」+ロボットシステムを1台。
     「糸を加熱し適正な熱処理を巻き取り過程で連続的に行う『加熱ロール』という部品の加工。加熱ロールの長尺化も進み、それに対応する設備の必要性に迫られたため。角スライド機で、ギアシフト、低回転、高トルクの主軸を持つ、いわゆる重切削が可能な横形MCを求めていた。細かな仕様の提示に対して、もっとも、誠実に答えてくださった機械メーカーさんがニイガタさん。特に、ツールの『ビビり』対策に高い技術を持つメーカーさんだと感じた。単位時間当たりの切屑排出量のデータに併せて、ホルダのクランプに関する技術的な資料を、即座に作って下さった。市場開発担当部長さん自ら、A4で5~6ページの資料。カウンターボーリングへの変更など、加工のご提案も頂き、加工の改善に主眼を置いた提案ができるメーカーさんで、そこをもっとも評価した」。
     翌年には「Box in Box」構造、3点支持構造の『ULTY901』を2台導入。リニアガイド機で1万5千回転主軸仕様とし、高速高送り加工を目的として選定した。テーブルサイズに対してY軸のストロークが特出して大きい事も選定理由のひとつ。
     機械の今後の方向性として、アプリケーションの充実とスペース低減を求める。
     「ニイガタさんは、サポート体制も良い。今後は、加工のサポートをソフトウェアで持たせる工夫を通して、よりユーザフレンドリーな機械にしていただけるとなお良くなる。情報の交換を通じて、ウィンウィンの関係を築いていきたい」
    ユーザー通信138号(2013.6.1)掲載

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