カテゴリー: ユーザー通信 WEB版

  • ユーザー通信231号4面:Space BDが『フレンチテック東京賞』受賞

    Space BDが『フレンチテック東京賞』受賞

    今回の選定受け「ライフサイエンスR&D事業」立ち上げへ

    宇宙産業における総合的なサービスを展開するSpace BDは、在日フランス商工会議所(CCI France Japon)が主催する「第10回フレンチビジネス大賞」において、『フレンチテック東京賞 2021』を受賞した。

    この賞は、宇宙産業に関する功績が高く 評価され、実現性があり、日本でのビジネス拡大を目指す独自のプロジェクトを持つデジタル、イノベーション分野で活躍するスタートアップ企業に贈られる。主要評価項目は、次のとおり。

    ▽Space BDが目標として掲げる「宇宙の産業化」の実現に向けた、あらゆるプレーヤーの宇宙分野 への呼び込み。

    ▽「衛星の打上げ」や「宇宙空間での実証実験」を目指す顧客への、宇宙空間へのモノの運搬や実証実験成功に向けた最適なプランの提示。国際宇宙ステーション(ISS)を活用した軌道上実証サービスや小型衛星の打上げ、海外からの衛星部品の輸出入、プロジェクト組成の実施。技術調整から打上げ実現、運用支援までの、トータルサポートの提供。

    ▽ISS利活用に関するフランスのスタートアップ企業との協業予定。

    Space BDはこれまで、日本をリードする衛星打上げサービス事業者として、
    ①ISS「きぼう」からの衛星放出サービス
    ②ISS「きぼう」曝露部プラットフォーム利用サービス
    ③H-ⅡA/H3ロケットを活用した衛星相乗り打上げサービスという3つのサービスラインにおいて、国立研究開発法人宇宙航空研究(JAXA)から公式な打上げサービスプロバイダーとして選定を受けており、これら3つのサービスラインとその他サービスラインを合わせて、52機の衛星打上げサービスを受注、うち9機の打上げを完了した。

    今後は、フランスのスタートアップ企業との協業を予定し、引き続き国内外のあらゆる産業のプレーヤーを巻き込み、地球低軌道商業化の実現に向けて、民間事業者の立場から貢献すべく事業開発を進めていく。

    『きぼう』利用タンパク質結晶生成実験事業 JAXA唯一の民間パートナーに選定

    ライフサイエンスR&D領域に貢献、ISSサービス利用者向けITシステム開発・運用にも参画 さらにSpace BDは、JAXAから「国際宇宙ステーション『きぼう』高品質タンパク質結晶生成実験事業における民間パートナーの選定のための公募型企画提案募集」において、同事業を実施する唯一の民間パートナーとして選定され、5月6日、JAXAと基本協定書を締結した。同事業は、JAXAが進める『きぼう』利用サービスの民間移管の一つとなる。

    Space BDは、JAXAが行う高品質タンパク質結晶化実験の運用準備作業の請負を通じて様々なノウ ハウをJAXAから継承しつつ、専用のスマートフォンアプリ等の新たなITシステムの導入によって実験システムの利便性向上・効率化を目指すとともに、提供される一部の実験機会を活用してSpace BD独自のサービスを展開することで、国内外の市場を開拓していく。

    JAXAとの同協定は、宇宙空間特有の微小重力環境を活用し、地上実験では得られない高品質なタンパク質の結晶生成を行うもので、高品質な結晶を用いることでタンパク質の立体構造をより詳細に解明することができ、基礎科学の発展のみならず創薬支援を始めとした様々なライフサイエンスの産業応用につながる成果が期待される。

    一例として挙げられる創薬分野では、得られた高品質な結晶をもとに明らかにされた創薬標的タンパク質の精密な立体構造情報は、有効な薬剤候補を検索する際の予測精度と計算速度の向上につながり、新薬開発の効率化への貢献が期待される。

    創薬以外にも、創「農」薬支援、エネルギーや食糧問題解決への貢献が期待されている産業用酵素(高効率水素生成/分解触媒やバイオマス分解触媒) 等の幅広い研究分野での利用が見込まれるほか、宇宙を題材としたライフサイエンス教育プログラムとしての活用事例も想定される。

    Space BDでは協定の締結を受け、すでにJAXA(含む前身のNASDA)と20年以上の提携実績を持ち、独自でも新薬開発やタンパク質研究に係るサポートを展開する丸和栄養食品(奈良・大和郡山市)等とのパートナーシップ関係を結び、宇宙実験にとどまらず地上解析等を含むライフサイエンス分野でのR&Dサービスをワンストップで提供する体制を整えた。

    今回締結した協定に基づく船内での新事 業とのシナジーを発揮し、国内外でのISS利用の促進を幅広くリードしていくとともに、宇宙利用と地上実験を融合するかたちでのライフサイエンス分野におけるR&D事業の新規開拓に取り組んでいく。

    また、同サービスの開始を契機に、ISSサービス利用者向けITシステムの開発・運用に参画し、「早く」「安く」「簡単な」宇宙利用の実現とそれによる宇宙産業の裾野拡大に貢献していく。

  • ユーザー通信231号 3面:セコ・ツールズ 製品情報フローを一新した「データマトリックスコード」ストーリー 「最大の利点はサステナビリティへの取り組み」

    セコ・ツールズ

    製品情報フローを一新した「データマトリックスコード」ストーリー
    「最大の利点はサステナビリティへの取り組み」

    ファーガスタのイノベーションラボの研究開発技術者であるヤン・グラブニングスブラーテンは、工具の製造工程の廃棄物の削減方法のアイデアを思いついたとき、それがセコのビジネスにどのような影響を与える可能性があるのか全く気づいていなかった。

    数年後、ヤンのアイデアにより、100億個の工具を追跡することが可能になり、同社製品の使用方法について膨大な知見を得ることができるようになった。

    2018年1月にヤンは、製造工程で不具合が発生したとき、工具がバッチ番号でしか識別できないために影響を受けた工具を個別に特定できないことに 気づいた。

    「1つのバッチに含まれる工具は1万個から2万個におよぶことがある。製造の不具合の影響を受けた可能性があるものを特定することは不可能だったため、全てを最初からやり直す必要があった

    これでは採算が取れない」とヤンは述べている。

    課題は、工具を個別に特定する方法を見つけることだった。
    そのときヤンが閃いたのは、QRコードに似た「データマトリックスコード」だった。

    「当社のコードには100億通りの数字を選択した。

    工具を製造する機器からすべてのコードを収集するソフトウェアを使用して、コードを付けた工具を完全に追跡することができる」とヤンは説明する。

    1987年に発明されたデータマトリックスコードは、製造プロセス中の物のトラッキングによく使用される二次元コードで、レーザー印刷処理により、セコ・ツールズ製品で特に人気の高いツールであるTurbo16ツールにコードが印刷される。

    現場に導入したツールにデータマトリックスコードを貼付することで、 将来的には、ユーザーとセコ・ツールズが使用期間を通じてデータマトリックスコードをトラッキングできるようになる。

    このコードは、ユーザーに役立つ情報を豊富に提供するアプリケーション「Seco Assistant」にも対応している。計算を実行したり、工具を直接スキャンしたりすることで詳しい情報を確認できる。

    「工具の使用方法、つまり使用する機器、設置時期、使用期間、用途などのデータをユーザー様にシステム入力していただけるのが理想。工具上のコードをスキャンすると、これらのデータがすべて表示される。これは工具の生涯の記録といえる」とセコ・ツールズのデジタル化の専門家、マイケル・ボーディンは語っている。

    ヤンは少人数のチームとともに、レーザーで工具にコードを印刷する方法を発見した。
    「これは、ユーザー様が特定の方法で工具を使用したときに問題が発生する場合に特に役立つ。 世界中のどこにいても、過去に何が使用されていたかを確認し、ユーザー様の問題に対する解決策を探すことができる」とヤンは話す。

    工具から収集したデータを研究開発プロセスにフィードバックすることにより、次世代の製品を改善することができる。

    「データマトリックスコードも読み取ることができる場合は、コードを使用して返却された製品を分類できるため、リサイクルプロセスがはるかに容易になる。
    様々な金属化合物を迅速に分類して、可能な限り再利用できるようになる。これは、当社のサステナビリティへの取り組みにとって大きなプラスだ」とヤンは続ける。

    マイケルも、「これまで当社は、このアイデアを1つの製品に適用して初期の問題を解決してきた。

    しかし理想は、耐用年数が終わると製品を返却することを製品の購入時にユーザー様に同意していただくこと。

    返却の際にコードをスキャンすることで、使用期間中に製品にどのようなことが起こったかを確認できるからだ」 と追随する。

    最後にヤンは、「リサイクルプロセスを自動化し、使わなくなった工具は返却するようにユーザー様に伝えられることを想像してみれば、将来的には、古い工具を簡単に廃棄することができなくなり、リサイクルが必須となるかもしれない」とまとめた。

  • ユーザー通信231号 3面:記念すべき8周年 アストロスケール

    宇宙大特集
    記念すべき8周年 アストロスケール

    今年も「持続可能な宇宙時代の幕開け」を牽引

    宇宙機の安全航行の確保を目指し、次世代へ持続可能な軌道を継承するため、スペースデブリ(宇宙ごみ)除去サービスの開発に取り組む世界初の民間企業、アストロスケールホールディングス(本社=東京都墨田区、創業者 兼 CEO=岡田光信氏/以下、アストロスケール)は、今年5月4日で設立8周年を迎えた。

    奇遇にも5月4日は、世界中のスター・ウォーズファンや宇宙好きにとって特別な日である「スター・ウォーズの日」(劇中の名台詞に由来)と重なるのだが、3月22日にスペースデブリ除去技術実証衛星『ELSA-d』(※本紙8面参照)が宇宙へと飛び立っただけでなく、静止軌道の衛星寿命延長市場への参入、 ネテックスプロのグランプリ受賞を含む様々な賞の受賞、累計調達額210億円の達成、社員数およそ200名に上るチームの成長など、アストロスケールはこの1年で多くのことを達成した。

    「8」は日本では縁起の良い数字とされているが、ELSA-dの技術実証や日本チームの次の『ADRAS-J』打上げに向けた準備が待ち受けるなど、今年もまた特別な1年となりそうだ。

    持続利用可能な宇宙時代がいよいよ幕を開け、これからもアストロスケールはその先頭を走っていく。

  • ユーザー通信231号 2面:タンガロイ新製品発表会

    タンガロイ新製品発表会

    先進的工場でも難しい「工具在庫管理」の重要さあらためて強調

    4月20日、オンラインによるタンガロイ(本社=福島県いわき市、木下聡社長)の新製品発表会が開催され、TungMeister バレルヘッド、TungMeister 平面加工用/長刃長ヘッド、ModuMiniTurn 自動盤用ヘッド交換式工具といったADD FORCE製品を中心に、ユーザーの生産性向上に役立つソリューション、情報のほか、「スマートテックインダストリー」、「スマートテックマーケティング」といったデジタル化戦略が「世界の潮流」として紹介された。

    そんな中、あらためて「コスト改善の一歩目」として強調されたのが、先進的な工具一元管理システム『MATRIX』の利用についてである。

    MATRIXは、工具の使用や在庫状況をデータ化し、正しく管理、発注業務の自動化や棚卸しの簡略化で見えないコストを削減し、工具の一元管理で作業に集中できる環境を整える。今回はその導入事例として、DMG森精機・伊賀ソリューションセンタの松井聖部長がVTR出演し、次のように評した。

    「MATRIX使用により、使用されている工具の頻度、各オペレーターの使用状況を把握できるようになった。また当社の機械に搭載されているCELOS(オペレーティングシステム)からMATRIXの遠隔閲覧が可能となり、機械の前に居ながら在庫品型番、在庫数、保管場所の確認ができるようになっている。

    MATRIXを導入することによって、最適な在庫管理と作業の効率化が実践できるようになった」。
    MATRIXの導入に必要なのは、最低限のネットワーク環境とパソコンやタブレットなどの端末のみ。大小さまざまなキャビネットラインナップと、自由にカスタマイズできる収納レイアウトで使用工具や場所を選ばず活用できる。

    なお、工具の在庫管理はいくら先進的な工場でも難しいとされ、「作業時間の15%が工具探しに費やされている」、「在庫の65%は一度も使われない(大体廃棄されてしまう)」といったデータにも言及したが、後者はかつて本紙で何度か取り上げた、いわゆる「死蔵工具」を指すが、これが明確に数字として語られたのは、非常に意義深いといえよう。

  • ユーザー通信231号 2面:Space BD 永崎将利社長独占インタビュー 宇宙を「商売、ビジネスの場」として組み立て独自のポジション確立

    Space BD 永崎将利社長独占インタビュー


    「宇宙が持つ無条件のワクワクドキドキ」を最大限活用した教育事業も展開

    ―そういう意味では、永崎社長のいう「新しい産業をつくる」という野望、野心のような由来は、おもしろいフェーズだと思います。

    永崎 米国ではNASA(アメリカ航空宇宙局)からの発注には定価で売って、しっかりマージンがとれるような形があって、その利益を使って民間で商業ベースで売る時にはディスカウント幅にしているというような「からくり」もあったりします。NASAに財力があるがゆえに、米国のベンチャー企業のほうが意外に、いかにNASAに刺さり込むかが重要視されているようです。

    (民需の)マーケットで売り上げを立てていくことを基調に考えている私には、米国の人たちからすれば、「あなたは正気なのか? それとも凄いことを考えているのか?」と一時期、いろいろな人の来訪を受けました。中にはNASAの関係者も来て、「あなたは本当は何を考えているのだ? そんなことで(仕事が)回るわけはないだろ?」というような感じでしたが、新産業をつくろうと思っているわけですし、そのあたりの「漠然さ」がチャンスともいえます。そのようなビジネス好きな人は、もっと多いはずです。

    ―漠然としているからこそ、まだ何がどうなるか分からない、「得体が知れないから、おもしろい」ということですが、創業当初と現時点での思いの違い、そもそも『宇宙商社』の由来とは。

    永崎 当社は2017年9月に創業して、もう3年半経ったところです。当初から『宇宙商社』のコンセプトは頭にあって、社名は元々、宇宙商事㈱でと思っていたのが、近しい周囲から「ちょっとイマイチではないか(笑)」との声があって再考し、最初からグローバル展開を想定していたので横文字にすればどうだろうとなった。宇宙とは、Spaceだという人もいれば、Universeという人もいる、Astroなんかもいいかもしれないし・・・

    ―Cosmosもある・・・

    永崎 そうですね、でも一般的にはSpaceだろうとなった。では、商事会社とは何かと考えた時に、トレーディングカンパニーとかではなく、Busines Deveropment(事業開発)を行う会社だと思っていたので、BDと頭文字を並べてみたらカッコよかった(笑)、という感じで決めました。

    結果的にこのコンセプトは良かったと思います。「名は体を表す」ではありませんが、やはりそれに尽きるなと。宇宙ビジネスにおいて、宇宙領域において、ビジネスオリエンテッドでアプローチしている人は、実はまだそれほど多くはなく、プレイヤーは増えているが、対象はどうしてもまだ「技術的」な部類が多い。

    そんな中で当社は、宇宙を「商売、ビジネスの場」として組み立てていくことで、希少価値というか、独自のポジションを取るに至りましたが、業界的に当初公言されていたような数量の超小型衛星が打ち上って、多くのデータ量の様々な裾野が広がる・・・という、そこまでの結果にはなっていません。

     

    ―海外と日本では宇宙ビジネスにおける現状の違いは。

    永崎 米国などはベンチャーキャピタルが勢いよく資金投入していたのが、もう次の動きで、プライベートエクイティファンド(PE=様々な発展段階にある未公開株式の企業への投資)が登場して、買収し統合して、スパック(SPAC=特別買収目的会社)での上場が起きており、日本とは違う動きになっています。

    日本はまだ新しい事業者がどんどん立ち上がっており、ベンチャーキャピタルの投資力が支えている。それが何を意味するのか、米国が先に就航サイクルを回している部分なのか、日本型でチャンスがまだあるのかといった観点もおもしろい。同じアプローチをしても負ける、敵わないと思っているので、何ができるのか。そうはいっても日本のベンチャーも最大の市場である米国に刺さり込むべく米国に法人をつくり、外国人をヘッドに据えるような動きで、米国マネーの流れを取り込む形など、いろいろな分岐があります。

    「裾野を広げれば、新しい知恵、資金、人材が集う」

    ―元々はなぜ『宇宙商社』を、つまり、衛星を打ち上げようと思ったのでしょう。

    永崎 当時(3年半前)、私の感覚だと、それはあまりにも「宇宙」が限られた人にしか開いていなかったからです。もっといろいろなマインドを持った人が参画して、大企業でもベンチャー企業でも大学でも構わないのですが、裾野を広げることで「新しい知恵、資金、人材」が入ってくれば、いろいろな利用方法が生まれ、産業として広がるだろうと。

    ということは、宇宙ビジネスとはまず宇宙空間にものを打ち上げないと始まらないので、そこを「安く、早く、簡単に」を提供できる事業体をつくれば、産業として大きくなるのではないか、事業性においても、そこは皆が通る道だから、そこを押さえておけば強いのではないかというのが、最初の考えだったのです。

    現在の当社は、打上げ受注実績は大きくなっていますが、市場としては思っていたよりも事業として結びついている衛星打ち上げはそんなに多いわけではなく、基本的には実証実験目的での利用です。

    では、どこを突っつけば宇宙産業はもっと広がるのかと思った時に、データ利用というか、「これを打ち上げれば、これだけ儲かる」という、あたり前のサイクルがまだ回ってないので、打ち上げた衛星が価値を生む必要があります。ここにも挑んでいます。

    ―ここであらためて、貴社の展開を整理すると、「国内外での、宇宙の利活用に関する幅広い事業」として、衛星の打ち上げ・国際宇宙ステーションの利活用を主軸とした「ローンチサービス事業」、衛星・部品コンポ開発者を主な対象とする「宇宙機器の輸出入事業」、さらには、宇宙飛行士を1つのロールモデルとした起業家育成・人材教育を提供する「教育事業」、SDGs等と掛け合わせ、宇宙を活用した新たな事業創成を目指す「宇宙利用事業」という4つをベースとしていますが、『商社』が司る教育事業とはどのようなものか、個人的には『宇宙商社』のネーミングに次いで興味がそそられるところです。

    永崎 教育事業には手応えを感じています。これは、宇宙飛行士の心構えは「未知でグローバルが当たり前」のいまの社会に応用できる点がたくさんあることを活用し、JAXA(宇宙航空開発研究機構)様、Z会(増進会ホールディングス/教育事業グループ)様といっしょに、宇宙飛行士の能力定義や心構えなどのノウハウを我々が使わせていただく形で、それを基にした教材プログラムの開発などを手掛けているものです。私は教育事業でスタートした独立だったので、そこがおもしろいことに結び付いてきています。

    「案件が玉石混交する状況を許容できることが当社の価値」

    インサイダーとしてやってきたら、宇宙ビジネスにはいろいろなものが見えて、いま、すごくおもしろくなってきているので、さらにメンバーを増員して次々とビジネスとして回していきたい。そのためには強いチームが必要で、当社はものづくりをしているわけではないので、資金調達をしてチームメンバーを増やしている状態です。

    ということで、3年半前より見えているチャンスはすごく多い。ただ、それらがいつお金になるのかは、まだ分からない。3年で利益化するのか、5年なのか、ひょっとすると20年かかるのか。それは、それぞれ仕掛けている種において、「これは短期でいけるかな、これ長そうだな・・・」といった案件が玉石混交しているからですが、逆に、その状況を許容できていることが当社の価値だと思います。
    これを、一般のビジネスでの「選択と集中」や「一点突破」でといわれてしまうと、こんなにたくさんの種を蒔けないし、勝ち筋はまだ分からない。「だから、おもしろい。だから、腕の見せどころ」でもあります。いま、「どこにチャンスがあるのか?」と、人生でこんなに毎日考えている日々はありませんね。

  • ユーザー通信231号 1面:Space BD 永崎将利社長独占インタビュー 「どこを突っつけば宇宙産業はもっと広がるのか」

    Space BD 永崎将利社長独占インタビュー 「どこを突っつけば宇宙産業はもっと広がるのか」

    昨年11月、経営体制の強化および今後の事業戦略に関する発表を行った、Space BD株式会社(以下、Space BD/東京・日本橋室町)は、国際宇宙ステーションの利活用を中心に、あらゆる産業のプレイヤーへ宇宙の産業化を促進していくためのサービスを展開している(ローンチサービス事業、宇宙機器輸出入事業、教育事業、宇宙利用事業)。

    そんな同社を率いる永崎将利社長の野望、野心とは「日本発で世界を代表する産業と会社をつくる」ことであり、自社を『宇宙商社』と名乗る。本紙ではこの度、機械工具(生産財)業界紙では初となる永崎社長への独占インタビューを敢行。今後数回にわたり対談形式で、「なぜSpace BDが『宇宙商社』なのか?」を紐解いていく―。

    【聞き手=本紙・植村和人】(敬称略)

     

    ―小紙のカテゴリーである製造現場で使用する生産財と呼ばれる工作機械や切削工具は、多かれ少なかれ、ほぼ全ての産業に関わっているといっても過言ではない。決して目立ちはしないものの、ねじ穴ひとつ、1個の部品と、何かしらに関わっているのが生産財という中で、当然、宇宙産業、宇宙ビジネスにもこれからさらに関りが深まっていくはずです。

    永崎 宇宙ビジネスのチャンスは無限大といえど、何をどう突っつけば動いて利益になるのか、まだ本当に分からないので、一見、目先のビジネスには直結しないような打ち合わせからも新しいアイデアが飛び出したり、いかに質の良い情報を集め、事業化するかとなれば、多分、それが「商社の社長」の仕事になるのだと思います。

    昨年11月の記者会見でも話しましたが、戦後から高度経済成長に至るあの隆盛を経て、現在の日本をつくり上げてきたのは、間違いなく、日本ならではの「商社」という機能、ものづくり企業さんとの役割分担があったからこそだと確信しています。

     

    ―ですが時代的には、あるいは世界的に見れば、商社機能とは「中間」「ワンクッション」=時間的にも利益的にも「無駄じゃないの?」といった、どちらかといえば淘汰、排除されがちなイメージが強い中、むしろ、もの凄く評価している永崎社長の思い、姿勢に感銘し、今回の直接インタビューに臨んだわけです。

    機械工具、生産財業界においてはまだまだ商社の機能、存在は大きいですし、それに、かつて私が長らく在籍していた出版・書店業界でも、商社の存在が未だに幅を利かせています。

    ちなみに、世間ではよく、「航空・宇宙産業」と纏めた表現が見られますが、私はこの括りに違和感があります。航空と宇宙って全然違うと思うのですが、例えば、セミナーや講演会などでも「航空宇宙〇〇〇」とタイトルされていても、いざ聴講すれば99%が航空の話だったりする。

    永崎 そうですね。

     

    ―だから、これだけ宇宙というカテゴリーがビジネス化し、広がる中では、もう航空と宇宙は完全に分離すればいいと思いますが。

    永崎 それに、経済という切り口で宇宙を見ていった時、宇宙にはまた全然違う顔があります。ただ、まだまだメディアに出てくる宇宙産業とは新しい技術や天文学的な話題が多いですが、私は全然違う「リアル」な部分を見ているので、そこには課題だけでなく、もちろんチャンスもあるわけです。
    先日参加したあるイベントで、「いま宇宙で儲かるフレームワークや勝ちパターンはあるのか?」と問われましたが、第一声、「そんなものはありません」と答えました。勝ちパターンがつくられるのを待っていては、日本は世界に遅れをとってしまうと思っています。

    米国も含めて、どうすればビジネスになるのかは誰も分からない、かといって上手くいってから参入すればもう遅いわけだから、いま、何を根拠にして参入していくのか、本当にビジネスとして考えるのかが、それこそまさに、思想の表れだと思います。

    「2面に続く」

  • ユーザー通信231号 8面:オーエスジー 藤井尉仁氏インタビュー「宇宙はいつでもスタートできる」

    打上げ成功、人工衛星『ELSA-d』に部品供給  宇宙業界の活動が頭から離れた日はない、やる気と思いがあれば「宇宙はいつでもスタートできる」  OSG『宇宙部品』の旗手―  藤井 尉仁氏 インタビュー

    ―今回打上げに成功したELSA-dと、4年前(2017年)のIDEAとのミッションの違いは。

    藤井  IDEAは「宇宙の状態を知る」ための微小デブリ「観測」衛星でしたが、ELSAはこれから打ち上げられる人工衛星を、ゴミにさせないための回収技術を確立する「実証実験衛星」で、民間で世界初となります。実証実験完了の予定は1年以内です。

     

    ―4年越しの悲願成就となった「人工衛星への部品供給」ですが、オーエスジーはどの部分に関係しているのでしょうか。

    藤井  納入した部品は複数ありますが、そのうち今回採用されているのが、衛星の基礎となるアルミ合金製の土台(底板)、姿勢制御関係の部品などです。

    土台については、開発段階から最終形のフライトモデルに行き着くまでに、3回ほど設計変更され、つくり替えています。姿勢制御関連の部品では、組み付け時の精度が求められ、短時間で実現することが大変でした。他にもいろいろ部品をつくっていますが公言できないものもあります。

     

    ―このプロジェクトには藤井さん以下、何名が携わっていますか。

    藤井  私を含むチームは8名で、うち製造に携わるのが4名です。部品加工をメインとしますが、ELSA-dの土台加工には、当社本社の加工技術チームも関わっています。

     

    ―元々が既存の部品加工チームであり、これまでの自動車部品の加工等での経験を活かし、「宇宙部品」もひとつの仕事として取り組んでいるわけですね。

    藤井  IDEAの時は主に私が担当しましたが、今回はチームで作業している状態です。自動車部品での経験や、これまでアストロスケールから受注した部品や、それ以外の宇宙部品も手掛けてきましたので、そのあたりのノウハウを織り込み、加工、供給しています。

     

    ―オーエスジーとして今後の宇宙事業への参画計画は。

    藤井  次世代の人工衛星をはじめ、宇宙部品製造の「専門化」が進んでいます。また、ベンチャーのみならず宇宙関連企業からも、多数の加工依頼を受けています。

     

     

    取り組むほどに取引が拡大している宇宙分野

    ―ということは、オーエスジーの中ではもう単独で「宇宙部品」というカテゴリーが確立しているといっても過言ではありませんね。

    藤井  取り組めば取り組むほど、取引先が増えてきています。自動車部品のような量産はまだ見込めないものの、広く種を蒔いたものに、少しずつ花が咲きはじめています。

     

    ―技術者目線ではなく、純粋に「宇宙産業」「宇宙ビジネス」という観点では今後の広がりをどう見ますか。

    藤井  「宇宙活動」がますます盛んになっていきますので、「宇宙ビジネス」も広がりを見せていると思います。国家予算も今年になって2千億円のレベルに達し、その大半はJAXAの掌握下にあります。ビジネス母体としては今後ますます大きな成長が見込まれます。

    また、元々は大手企業が国策として手掛けてきたロケットや人工衛星の取り組みが、現在は民間企業独自のビジネスとして、広がりを見せています。まさにこの状況に我々も乗り遅れないように今後もアンテナを張って進めて行きたいと思っています。

     

    月・火星へ、変化する「宇宙の目標」

    ―技術者としての観点から「宇宙部品」で最も難しいと感じるところは。

    藤井  話は前後しますが、宇宙を目指すということは「宇宙空間を目指す」を意味します。高度100㎞以上が宇宙といわれており、まずそこを目指そうというのが数年前のトレンドでした。宇宙に物を運ぼうという目標から始まり、この「宇宙の目標」がだんだんと変わってきています。

    もちろん以前から、月・火星がターゲットとしてありましたが、今ではかなり現実的に月や火星に行く取り組みが進んでいます。これまでは、地球の周りで通信するのを目的につくられていた主に無重力対応であった衛星から、今後は惑星の探査などを目的に、無重力から重力のある場所に移動して活動できる探査機への対応が必要となるため、それに求められる新しい材料の加工技術が要求されるようになってきています。また、地球周辺の打上げの場合なら1㎏で約50~100万円の予算で打上げられ、月を目指すとなれば、1億円くらいになるといわれています。

    そうなってくると、部品にはより軽量化が求められるので、軽量で耐久性のある材料の採用やその加工といった「強度と軽さ」の両立が部品に求められてきます。これにより、軽量化されている部品をうまく加工することが、今後我々の技術に求められてくると思います。

    宇宙の場合、事前に緻密な計算のもと作られた宇宙部品でも、打上げは一発勝負ですから、「これちょっとダメだったから、つくり直そう」というわけにはいかないのが地上の部品との大きな違いです。使う「環境」も地上とは全く異なります。例えば、激しい温度変化のため部品には高い耐久性が求められます。従って、宇宙部品には、発注者から高い品質が求められます。

     

    ―顧客のニーズを取り込む上で特に心掛けていることは。

    藤井  発注者には元々、「こういう部品をつくりたいのだが」という設計案があるのですが、そこから「安価でつくるためにはどうすればいいのか?」という質問もあります。

    それには製作段階において、例えば、発注者から支給されたCADデータでは、非常に狭いところや深い部分への加工が必要であったりしますので、こちらは、それが本当に必要かどうかを見極める力を持ちつつ、「ここはこうしたほうが安価で済みますよ」などと別案も提案して、つくる側のコストも考慮した上で、発注される側の要望も満たしながら、無駄なコストを省くといった取り組みを行っています。

    あるいは、図面がない状態でも、要素を理解して部品の機能を果たせるような製品づくりを提案できるのが我々の強みです。

    また最近では、マグネシウム合金の部品製作に力を入れています。そういった提案に非常に興味を示し、「ではマグネシウムでつくってみたい」という話につながり受注となることもあります。このように設計者との間で、今までにない良い関係を築けるようになってきています。一方的に「これつくって」ということが最近では少なくなってきました。

     

    その目的を理解することが重要

    ―宇宙部品を手掛けるには、これまで培ってきた技術面に加え、宇宙に関する様々な知識も吸収していかなければ、提案に盛り込むのは、なかなか大変なはずです。

    藤井  何をつくっているのか、装置や部品など、その目的を理解することが非常に重要になります。それが出来ることにより受注につながるともいえます。

     

    ―そもそも「宇宙」自体への興味は元からあったのでしょうか。私も、ものづくりの媒体をつくる者として、今後はもう宇宙への関りは避けて通れないと思っていますが、50歳代になってでも、宇宙に関し、特に理化学的なことに、どれだけ興味が持てるのだろうかと不安です。

    藤井  2015年に初めて宇宙部品に着手したのですが、それまでは、宇宙はアニメの世界でした。宇宙部品に関わるようになってから、私は本当に、一日たりとも、宇宙業界の活動が頭から離れたことはありません。この取り組みをきっかけに多くの宇宙関係者と知り合うことができました。ある宇宙事業者の代表は、「宇宙関係の経験者を採用しても常識的な仕事になってしまい、新しいものは生まれない」といっており、もっと他分野の人材を取り込んで活動していきたいそうです。私もそれほど難しい宇宙に関する計算等ができるわけではないですが、やる気と思いがあれば、「宇宙はいつでもスタートできる」と思っています。

  • ユーザー通信230号 7面 ワイヤレス給電の世界と工作機械

    ワイヤレス給電の世界と工作機械

    「YUASA Growing フェア 関西」セミナー聴講

    加工室内の反射により高効率な送電実現

    配線難、腐食・断線、加工状況把握が
    ペインの工作機械内部で進む実証実験

    3月25~26日、インテックス大阪で開いた「YUASA Growing フェア 関西」初日のセミナーにランナップの『ワイヤレス給電で配線のない世界の提案』を聴講した。

    そもそもワイヤレス給電とはどういったものか?

    「ケーブルを使わず非接触により電力を伝送する技術」の総称となるが、たまたま記者も昨年末に購入した「ⅰphoneの置き型充電器=Qi規格」といえばイメージしやすいだろう。かといって「ワイヤレス給電といえばQi規格」と考えるのは「よくある勘違い」らしい。

    ワイヤレス給電はQi規格=磁界結合方式を含めて、伝送の方式は6種類に大別され、方式ごとにメリット、デメリットが存在するようだ。つまり、ワイヤレス給電という「一括り」にはできず、「アプリケーション毎に適切な方式を選択することが必要」とのこと。

    講演(オンライン)したエイターリンク社はこれまで、心臓のペースメーカーを世界最小レベルまで小型化し、実際に動物の心臓内に入れ、体外から体内深部への給電を空間で行い10m以上の給電を可能とする長距離ワイヤレス給電技術を強みとしている。

    このような長年のバイオメディカル領域技術の商用への応用を行っており、今後DX(デジタルトランスフォーメーション)により、あらゆるアナログデータをデジタル化する必要があるが、爆発的に増えるセンサーはワイヤレス給電技術により完全コードレス化する社会的な課題がある。

    そんな中、FA領域においては、エンドユーザーから「自社工場をスマート化させたい」「面倒な配線をなくしたい」、センサーメーカーからは「自社センサーをワイヤレス給電対応センサーのスタンダード品にしたい」、そして工作機械メーカーからも、「差別化を図りたい、配線問題をなくしたい」という課題があがる。

    以下、この「工作機械の内部でのワイヤレス給電」を語ったワンシーンに注視したい。

    横形マシニングセンタをイメージすれば分かりやすいが、工作機械のパレット上に積載したワークを加工する場合、1℃温度が上昇してしまうと、ワークは10μmほど伸びてしまうといわれ、精密部品加工が要求される航空機部品や一部の自動車部品では、10μmの差異が致命的になってしまう場合もある。

    そのため工作機械メーカー各社はサーボマネジメントを行っているが、ワークのできる限り近くで温度を管理したいとの要求がある。しかしワークの出入りがあり、もちろん配線することは難しく、さらにはバッテリーを交換することもなかなか難しい。

    こういったことから、これはワイヤレス給電でしか出来ないということで、すでに実証実験に入っているメーカーもある。

    加工室内部を想定したシミュレーション結果においては、工作機械内部(加工室内)の反射により電波を閉じ込める性質があるため、電波効率がよく、約3%の高能率な送電効率を実現、確保することができる。

    これは単なるセンサーだけでなく、カメラなどの立地コンテンツを扱うデバイスについても、ワイヤレス給電で賄うことができるということを意味する。

    そこで、次のようなセンサーが対象となってくる。工作機械へのセンサー導入として考えられているのが、温度センサー、振動センサー、圧力センサー、さらには近接センサーについては既に利用中のようだ。

    それぞれ詳細は、まず「温度センサー」のペイン(=減らしたい要素)は配線難で、目的はワーク・テーブル温度センシング(サーモマネジメント)。

    次に「振動センサー」のペインも配線難(含む回転部分)であり、モータ、切削刃、ガイド、ケーブルベアのセンシングデータ(予防予測)が目的となる。

    続いて「圧力センサー」のペインは加工状況把握で、目的はワークの加工状況をリアルタイムに把握すること。

    最後に「近接センサー」のペインはクーラントなどの悪環境下での腐食・断線・稼働部の断線であり、ワークの正位置検出を目的とする。

    このようなセンサーは、ワイヤレス機能で稼働させることが十分に考えられることが確認済みだという。

  • ユーザー通信230号 6面 DMG森精機 入社式

    DMG森精機 入社式

    森社長訓示〈要約〉

     DMG森精機は4月1日、伊賀事業所(三重県伊賀市)にて入社式を執り行った。森雅彦社長の訓示から、今年ならではフレーズを抜粋、要約した。

    * * *

     新入社員の皆さん、入社おめでとうございます。昨年はCOVID-19の影響で就職活動も非常に困難な状況だったと思いますが、これからしっかりと研修を受講して大きく成長していくことを期待しています。

     今年から、経営理念に自動化・デジタル化や働き方に関する内容を追加しました。「よく遊び、よく学び、よく働く」においては、「よく遊ぶ」ためにはフレッシュな頭、健康な体がなくてはなりません。健康でいるために質のよい睡眠、食事、前向きに考える癖をつけることが非常に重要です。COVID-19により、世の中が健康の大切さを再確認しました。

     当社は持続可能な社会を目指し、脱炭素社会や資源循環型の社会に向けた様々な取り組みを行っています。工作機械業界はCO2排出が少ないクリーンな産業です。具体的なCO2排出量削減への取り組みを加速する一方で、自社の活動により削減できないCO2排出量に関して、国際的に認定された持続可能な気候保護プロジェクトへ出資することでオフセットしています。高精度・高品質の多軸・複合化された工作機械を提供することが環境負荷の低減に重要であり、事業活動を加速させること自体がCSRおよびESGへの取り組みにつながる稀有な産業です。

     さらに、マーケティングが非常に重要です。自身が利用したことがある会社の商品、サービスはお客様視点が分かりやすいですが、工作機械はBtoB産業のため難しいと思います。毎日使用されているお客様の気持ちを想像し「よい機械とは何か」を常に意識し、近年取り組んでいる様々なマーケティング手法を活用してください。

  • ユーザー通信230号 4面 三井精機工業 川島(埼玉)本社工場で感染防止対策徹底、午前・午後二部制で工場見学会実施

    三井精機工業

    川島(埼玉)本社工場で感染防止対策徹底、午前・午後二部制で工場見学会実施

    三井精機工業(加藤欣一社長/以下、三井精機)は3月17~19日に、本社(埼玉県比企郡川島町)工場内精機棟Eラインにて、工作機械の「2021年 工場見学会」を実施した。


    同社では例年であれば年初にプライベートショーの「MTF」(Mitsui Technical Fair)を本社、名古屋、大阪の各地で開催しているが、今年は新型コロナウイルス禍である現下の状況を鑑み、感染防止対策を徹底し、午前・午後の二部制での工場見学会というスタイルをとった。

    この同社初の試みとなった3日間には、西日本など遠方からも含め、合計35社・110人(ユーザー単独およびユーザーに伴っての商社)が来場し、「限られた少人数で、多数の機械をじっくりと見学でき、かなり落ち着いて説明を聞くことができた」など、通常のMTFとはまた違った観点での好評が得られたという。

    そんな中、プレシジョンセンタ『PJ303X』と大型ジグ研削盤『J350G』の新機種2台をはじめ、プレシジョン・プロファイル・センタ『PJ812』、ジグ研削盤『J350G』、横形マシニングセンタ『HU80A』、5軸立形MCでは『Vertex55XⅢ』と2018年のJIMTOFで初公開した『Vertex100X』、5軸横形MCでは『HU80A‐5X』と『HU100‐TS』、そして、ねじ研削盤のフルモデルチェンジ機としてJIMTOF2018で初公開した『GSH200A』を主な見学可能機種として展示した。

    いずれも特長多彩な製品群だが、このうち、「INTERMOLD 2021」(4月14~17日/東京ビッグサイト・青海展示棟)に出展するPJ303XとJ350Gの2機種についてピックアップする。

    まず、PJ303Xは、「究極のマザーマシン」を謳うPJシリーズに4年半ぶりに加わった新機種で、3月早々に開催された「Grinding Technology Japan 2021」(幕張メッセ)が初披露の場となった。

    ジグボーラーの高精度位置決めと高品位加工形状加工を実現し、かつMC並みの効率・使い勝手を実現するPrecision Profile Center(プレシジョン・プロファイル・センタ)という新たなジャンルは、2016年のJIMTOFでPJ812として初公開した。

    精密順送金型、高精度プラスチック金型、各種試作部品、光学関連部品、航空宇宙関連部品、医療機器関連など中大型で高精度を必要とされる需要が高まる中で、静的精度はもちろん、動的精度を徹底的に追求し誕生したPJ812は、ジグボーラーでの門型構造のメリットをふまえ開発し、MCとしては今までにない構造で提案している。

    その流れを汲んだPJ303Xは、熱変形を考慮した左右対称門型コラム構造、直線軸は高速駆動リニアモータ、回転軸はDDモータを採用し、俊敏な加減速、バックラッシュのないスムーズな動きを実現している。

    また、最新の主軸熱変位補正機能を標準装備し、特殊熱変位キャンセル機構による主軸は、ヘッドの熱変位を大幅に抑制するほか、回転式2弾扉の正面操作扉など広い間口をもったドアといった良好な段取り性に加え、機内でのワークや工具の自動計測が選択でき、自動運転が可能となるなど、精密微細加工に革新をもたらす特長をもつ。

    次に、2016年のMTFで初披露したJ350Gは当時、ジグ研削盤としては実に約20年ぶりのリニューアル登場だった。

    ジグ研削盤は、高精度金型、光学・測定関連の部品加工などに使われる最終仕上げを目的とした機械であり、金型の仕上げ加工ではワイヤカット加工機の適用範囲が広がってきたとはいえ、究極的な精度では、やはりジグ研削盤の右に出る機械はない。

    三井精機では約60年前からジグ研削盤を手掛けており、その精度は多くのユーザーから高い評価を得てきたものの、時代に則した性能・機能も求められていた。

    そんな中、J350Gは、ジグ研削盤の「命」といえる主軸ヘッド構造を一新し機能を高めたが、最も注目されたのが砥石自動切込みストローク(U軸)が従来2㎜に対し53㎜という大幅な拡張だった。これにより、遊星回転で異径穴を加工する場合、1本の砥石での自動加工範囲が拡大するなど、従来機に比べ自動化レベルが大幅に向上した。

    さらに、従来機では構造的に安全カバーを装備する前提ではなかったが、J350Gではデザイン性も考慮した安全カバー(天井付き)を標準装備したことにより、従来機に比べ設置スペースが半減したことに加え、ジグ研削盤は基本的にはドライ加工が多いが、J350Gはフルカバー仕様であることから研削油を用いた加工もでき、仕上げ加工はもちろん、様々な加工用途への広がりを見せ、従来機からの置き換え需要も順調に取り込んでいる。
    なお同社はINTERMOLDでは、オイル式インバータコンプレッサ『ZV22AX‐R』も併せて出展する。
    【小間番号・A‐271】

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