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  • news-ワルター Accure・tec 防振工具の製品レパートリーを拡張

    ワルター

    Accure・tec 防振工具の製品レパートリーを拡張

    ワルターは、長い突き出しにおいてもビビりのない切削加工を実現する、Accure・tec防振工具システムの製品レパートリーを拡張し、5月以降順次販売を開始している。

    工具には軸方向および径方向にフレキシビリティを持たせた防振エレメントが内蔵され、その調整は工場出荷時に行われているため、加工現場においてすぐに使用を開始できる。

    今回、ミーリング工具アダプターにおいて、ヘッドねじ込み式ScrewFitインターフェース仕様の、金型加工における突き出しの長いミーリング加工に最適なAC060(サイズT18、T22およびT28)がレパートリーに追加され、Xtra.tecXTカッターおよびボールノーズカッターなどのScrewFit仕様標準工具にAccure・tec防振テクノロジーを組み合わせて使用できるようになった。

    旋削加工においては、
    QuadFit Large中間アダプターを使用するモジュール式A3001アダプターがレパートリーに追加された。

    工具径Φ60-100㎜にて最大10×Dの内径加工をカバーし、最大1mの突き出し長さにおいて、油圧シリンダーや大型バルブ部品の加工をビビりなく行うことができる。

    工具はボーリングバー本体、中間アダプター(刃先オフセット量 大/小の2バージョン)およびQuadFitクイックチェンジヘッドからなるモジュール式であり、オフセット量の大きな中間アダプターを用いることにより、深穴の加工において穴壁面とボーリングバーとの間に空間を設けて切りくず排出を最適化する。

    ボーリングバー本体はストレートシャンク、Walter CaptoまたはHSK-Tから選択可能で、さまざまな工作機械において使用でき、ビビりを減らして生産性を高める。

  • ユーザー通信231号4面:Space BDが『フレンチテック東京賞』受賞

    Space BDが『フレンチテック東京賞』受賞

    今回の選定受け「ライフサイエンスR&D事業」立ち上げへ

    宇宙産業における総合的なサービスを展開するSpace BDは、在日フランス商工会議所(CCI France Japon)が主催する「第10回フレンチビジネス大賞」において、『フレンチテック東京賞 2021』を受賞した。

    この賞は、宇宙産業に関する功績が高く 評価され、実現性があり、日本でのビジネス拡大を目指す独自のプロジェクトを持つデジタル、イノベーション分野で活躍するスタートアップ企業に贈られる。主要評価項目は、次のとおり。

    ▽Space BDが目標として掲げる「宇宙の産業化」の実現に向けた、あらゆるプレーヤーの宇宙分野 への呼び込み。

    ▽「衛星の打上げ」や「宇宙空間での実証実験」を目指す顧客への、宇宙空間へのモノの運搬や実証実験成功に向けた最適なプランの提示。国際宇宙ステーション(ISS)を活用した軌道上実証サービスや小型衛星の打上げ、海外からの衛星部品の輸出入、プロジェクト組成の実施。技術調整から打上げ実現、運用支援までの、トータルサポートの提供。

    ▽ISS利活用に関するフランスのスタートアップ企業との協業予定。

    Space BDはこれまで、日本をリードする衛星打上げサービス事業者として、
    ①ISS「きぼう」からの衛星放出サービス
    ②ISS「きぼう」曝露部プラットフォーム利用サービス
    ③H-ⅡA/H3ロケットを活用した衛星相乗り打上げサービスという3つのサービスラインにおいて、国立研究開発法人宇宙航空研究(JAXA)から公式な打上げサービスプロバイダーとして選定を受けており、これら3つのサービスラインとその他サービスラインを合わせて、52機の衛星打上げサービスを受注、うち9機の打上げを完了した。

    今後は、フランスのスタートアップ企業との協業を予定し、引き続き国内外のあらゆる産業のプレーヤーを巻き込み、地球低軌道商業化の実現に向けて、民間事業者の立場から貢献すべく事業開発を進めていく。

    『きぼう』利用タンパク質結晶生成実験事業 JAXA唯一の民間パートナーに選定

    ライフサイエンスR&D領域に貢献、ISSサービス利用者向けITシステム開発・運用にも参画 さらにSpace BDは、JAXAから「国際宇宙ステーション『きぼう』高品質タンパク質結晶生成実験事業における民間パートナーの選定のための公募型企画提案募集」において、同事業を実施する唯一の民間パートナーとして選定され、5月6日、JAXAと基本協定書を締結した。同事業は、JAXAが進める『きぼう』利用サービスの民間移管の一つとなる。

    Space BDは、JAXAが行う高品質タンパク質結晶化実験の運用準備作業の請負を通じて様々なノウ ハウをJAXAから継承しつつ、専用のスマートフォンアプリ等の新たなITシステムの導入によって実験システムの利便性向上・効率化を目指すとともに、提供される一部の実験機会を活用してSpace BD独自のサービスを展開することで、国内外の市場を開拓していく。

    JAXAとの同協定は、宇宙空間特有の微小重力環境を活用し、地上実験では得られない高品質なタンパク質の結晶生成を行うもので、高品質な結晶を用いることでタンパク質の立体構造をより詳細に解明することができ、基礎科学の発展のみならず創薬支援を始めとした様々なライフサイエンスの産業応用につながる成果が期待される。

    一例として挙げられる創薬分野では、得られた高品質な結晶をもとに明らかにされた創薬標的タンパク質の精密な立体構造情報は、有効な薬剤候補を検索する際の予測精度と計算速度の向上につながり、新薬開発の効率化への貢献が期待される。

    創薬以外にも、創「農」薬支援、エネルギーや食糧問題解決への貢献が期待されている産業用酵素(高効率水素生成/分解触媒やバイオマス分解触媒) 等の幅広い研究分野での利用が見込まれるほか、宇宙を題材としたライフサイエンス教育プログラムとしての活用事例も想定される。

    Space BDでは協定の締結を受け、すでにJAXA(含む前身のNASDA)と20年以上の提携実績を持ち、独自でも新薬開発やタンパク質研究に係るサポートを展開する丸和栄養食品(奈良・大和郡山市)等とのパートナーシップ関係を結び、宇宙実験にとどまらず地上解析等を含むライフサイエンス分野でのR&Dサービスをワンストップで提供する体制を整えた。

    今回締結した協定に基づく船内での新事 業とのシナジーを発揮し、国内外でのISS利用の促進を幅広くリードしていくとともに、宇宙利用と地上実験を融合するかたちでのライフサイエンス分野におけるR&D事業の新規開拓に取り組んでいく。

    また、同サービスの開始を契機に、ISSサービス利用者向けITシステムの開発・運用に参画し、「早く」「安く」「簡単な」宇宙利用の実現とそれによる宇宙産業の裾野拡大に貢献していく。

  • news-三菱マテリアル 自動盤・小型旋盤用 超硬ドリル「WSTARドリルシリーズ『DWAE』」にMiniサイズ追加

    三菱マテリアル

    自動盤・小型旋盤用 超硬ドリル「WSTARドリルシリーズ『DWAE』」にMiniサイズ追加

    さらに三菱マテリアルは、自動盤・小型旋盤用 超硬ソリッドドリル「WSTARドリルシリーズ『DWAE』」にドリル径1㎜-2・9㎜のMiniサイズを追加し、販売を開始した。

    DWAEは、低抵抗で切りくず処理に優れ、自動盤・小型旋盤において安定した穴加工を実現する超硬ソリッドドリルであり、このたび、Miniサイズ40アイテムを追加し、小径穴加工のニーズに対応する。DWAEの主な特長は次のとおり。

    ①刃先形状の低抵抗設計により、ワーク剛性やクランプ剛性の確保が難しい加工でも使用が容易。

    ②首下部の長さが最小限となる独自デザインにより、工具剛性の向上と切りくず排出性を両立。

    ③PVDコーテッド超硬材種「DP102A」の採用により、低速から中速領域の切削条件下で優れた耐摩耗性を発揮

    ④ドリル径1㎜-2・9㎜のMiniサイズを追加。

  • news-三菱マテリアル インペラ加工用テーパ刃ボールエンドミル アルミニウム合金加工用エンドミルシリーズにアイテム追加

    三菱マテリアル

    インペラ加工用テーパ刃ボールエンドミル アルミニウム合金加工用エンドミルシリーズにアイテム追加

    また同社は、インペラ加工用テーパ刃ボールエンドミル アルミニウム合金加工用エンドミルシリーズに『DLC4LATB』を追加し、販売を開始した。

    自動車向けのターボチャージャは近年市場規模が拡大しており、部品として組み込まれるインペラはアルミニウム合金製のものが多くなっている。

    三菱マテリアルはアルミニウム合金製インペラ加工用としてノンコートタイプの「C4LATB」を発売し、切りくず排出性・耐折損性にも優れたエンドミルとして、ユーザーより高い評価を得ており、このたび、さらにアルミの工具への溶着を防ぎ、工具剛性を高めたDLC4LATBを4アイテム追加した。

    主な特長は次の通り。

    ①耐折損性を向上させた高剛性設計により、アルミインペラの高能率加工を実現。

    ②独自開発のDLCコーティングにより優れた耐溶着性を発揮する。

  • news-三菱マテリアル 汎用超硬ソリッドドリル「TRISTARドリルシリーズ『DVAS』」に深穴加工用アイテム追加

    三菱マテリアル

    汎用超硬ソリッドドリル「TRISTARドリルシリーズ『DVAS』」に深穴加工用アイテム追加

    三菱マテリアル 加工事業カンパニー(本社=東京都千代田区、田中徹也カンパニープレジデント)は、汎用超硬ソリッドドリル「TRISTARドリルシリーズ『DVAS』」に、深穴加工が可能な84アイテムを追加し、販売を開始した。

    DVASは、穴加工の市場において、3つの星(ベネフィット)「高能率」「長寿命」「高精度」をユーザーに提供すべく、新世代ドリルを「TRISTARドリルシリーズ」として誕生させた超硬ソリッドドリルであり、このたび、工具径のそれぞれ20倍、25倍、30倍、40倍、50倍の深さが加工できるロングサイズを追加した。
    DVASの主な特長は次の通り。

    ①進化した独自クーラント穴形状『TRI-Coolingテクノロジー』により、クーラント吐出量が従来の2倍以上を達成。切りくず排出性、切削熱の排熱性が格段に向上。

    ②ストレートな主切れ刃とシンニング切れ刃を滑らかな円弧で連続的に繋ぐことにより、耐欠損性を向上。

    ③新XRシンニングにより、低抵抗かつ優れた切りくず分断性能を実現。

    ④ショートドリルには、首下部の長さが最小限となる独自デザインを採用。工具剛性の向上と切りくず排出性向上を同時に実現。

    ⑤工具径の20倍、25倍、30倍、40倍、50倍の深さが加工できるロングサイズを追加。

  • ユーザー通信231号 3面:セコ・ツールズ 製品情報フローを一新した「データマトリックスコード」ストーリー 「最大の利点はサステナビリティへの取り組み」

    セコ・ツールズ

    製品情報フローを一新した「データマトリックスコード」ストーリー
    「最大の利点はサステナビリティへの取り組み」

    ファーガスタのイノベーションラボの研究開発技術者であるヤン・グラブニングスブラーテンは、工具の製造工程の廃棄物の削減方法のアイデアを思いついたとき、それがセコのビジネスにどのような影響を与える可能性があるのか全く気づいていなかった。

    数年後、ヤンのアイデアにより、100億個の工具を追跡することが可能になり、同社製品の使用方法について膨大な知見を得ることができるようになった。

    2018年1月にヤンは、製造工程で不具合が発生したとき、工具がバッチ番号でしか識別できないために影響を受けた工具を個別に特定できないことに 気づいた。

    「1つのバッチに含まれる工具は1万個から2万個におよぶことがある。製造の不具合の影響を受けた可能性があるものを特定することは不可能だったため、全てを最初からやり直す必要があった

    これでは採算が取れない」とヤンは述べている。

    課題は、工具を個別に特定する方法を見つけることだった。
    そのときヤンが閃いたのは、QRコードに似た「データマトリックスコード」だった。

    「当社のコードには100億通りの数字を選択した。

    工具を製造する機器からすべてのコードを収集するソフトウェアを使用して、コードを付けた工具を完全に追跡することができる」とヤンは説明する。

    1987年に発明されたデータマトリックスコードは、製造プロセス中の物のトラッキングによく使用される二次元コードで、レーザー印刷処理により、セコ・ツールズ製品で特に人気の高いツールであるTurbo16ツールにコードが印刷される。

    現場に導入したツールにデータマトリックスコードを貼付することで、 将来的には、ユーザーとセコ・ツールズが使用期間を通じてデータマトリックスコードをトラッキングできるようになる。

    このコードは、ユーザーに役立つ情報を豊富に提供するアプリケーション「Seco Assistant」にも対応している。計算を実行したり、工具を直接スキャンしたりすることで詳しい情報を確認できる。

    「工具の使用方法、つまり使用する機器、設置時期、使用期間、用途などのデータをユーザー様にシステム入力していただけるのが理想。工具上のコードをスキャンすると、これらのデータがすべて表示される。これは工具の生涯の記録といえる」とセコ・ツールズのデジタル化の専門家、マイケル・ボーディンは語っている。

    ヤンは少人数のチームとともに、レーザーで工具にコードを印刷する方法を発見した。
    「これは、ユーザー様が特定の方法で工具を使用したときに問題が発生する場合に特に役立つ。 世界中のどこにいても、過去に何が使用されていたかを確認し、ユーザー様の問題に対する解決策を探すことができる」とヤンは話す。

    工具から収集したデータを研究開発プロセスにフィードバックすることにより、次世代の製品を改善することができる。

    「データマトリックスコードも読み取ることができる場合は、コードを使用して返却された製品を分類できるため、リサイクルプロセスがはるかに容易になる。
    様々な金属化合物を迅速に分類して、可能な限り再利用できるようになる。これは、当社のサステナビリティへの取り組みにとって大きなプラスだ」とヤンは続ける。

    マイケルも、「これまで当社は、このアイデアを1つの製品に適用して初期の問題を解決してきた。

    しかし理想は、耐用年数が終わると製品を返却することを製品の購入時にユーザー様に同意していただくこと。

    返却の際にコードをスキャンすることで、使用期間中に製品にどのようなことが起こったかを確認できるからだ」 と追随する。

    最後にヤンは、「リサイクルプロセスを自動化し、使わなくなった工具は返却するようにユーザー様に伝えられることを想像してみれば、将来的には、古い工具を簡単に廃棄することができなくなり、リサイクルが必須となるかもしれない」とまとめた。

  • ユーザー通信231号 3面:記念すべき8周年 アストロスケール

    宇宙大特集
    記念すべき8周年 アストロスケール

    今年も「持続可能な宇宙時代の幕開け」を牽引

    宇宙機の安全航行の確保を目指し、次世代へ持続可能な軌道を継承するため、スペースデブリ(宇宙ごみ)除去サービスの開発に取り組む世界初の民間企業、アストロスケールホールディングス(本社=東京都墨田区、創業者 兼 CEO=岡田光信氏/以下、アストロスケール)は、今年5月4日で設立8周年を迎えた。

    奇遇にも5月4日は、世界中のスター・ウォーズファンや宇宙好きにとって特別な日である「スター・ウォーズの日」(劇中の名台詞に由来)と重なるのだが、3月22日にスペースデブリ除去技術実証衛星『ELSA-d』(※本紙8面参照)が宇宙へと飛び立っただけでなく、静止軌道の衛星寿命延長市場への参入、 ネテックスプロのグランプリ受賞を含む様々な賞の受賞、累計調達額210億円の達成、社員数およそ200名に上るチームの成長など、アストロスケールはこの1年で多くのことを達成した。

    「8」は日本では縁起の良い数字とされているが、ELSA-dの技術実証や日本チームの次の『ADRAS-J』打上げに向けた準備が待ち受けるなど、今年もまた特別な1年となりそうだ。

    持続利用可能な宇宙時代がいよいよ幕を開け、これからもアストロスケールはその先頭を走っていく。

  • ユーザー通信231号 2面:タンガロイ新製品発表会

    タンガロイ新製品発表会

    先進的工場でも難しい「工具在庫管理」の重要さあらためて強調

    4月20日、オンラインによるタンガロイ(本社=福島県いわき市、木下聡社長)の新製品発表会が開催され、TungMeister バレルヘッド、TungMeister 平面加工用/長刃長ヘッド、ModuMiniTurn 自動盤用ヘッド交換式工具といったADD FORCE製品を中心に、ユーザーの生産性向上に役立つソリューション、情報のほか、「スマートテックインダストリー」、「スマートテックマーケティング」といったデジタル化戦略が「世界の潮流」として紹介された。

    そんな中、あらためて「コスト改善の一歩目」として強調されたのが、先進的な工具一元管理システム『MATRIX』の利用についてである。

    MATRIXは、工具の使用や在庫状況をデータ化し、正しく管理、発注業務の自動化や棚卸しの簡略化で見えないコストを削減し、工具の一元管理で作業に集中できる環境を整える。今回はその導入事例として、DMG森精機・伊賀ソリューションセンタの松井聖部長がVTR出演し、次のように評した。

    「MATRIX使用により、使用されている工具の頻度、各オペレーターの使用状況を把握できるようになった。また当社の機械に搭載されているCELOS(オペレーティングシステム)からMATRIXの遠隔閲覧が可能となり、機械の前に居ながら在庫品型番、在庫数、保管場所の確認ができるようになっている。

    MATRIXを導入することによって、最適な在庫管理と作業の効率化が実践できるようになった」。
    MATRIXの導入に必要なのは、最低限のネットワーク環境とパソコンやタブレットなどの端末のみ。大小さまざまなキャビネットラインナップと、自由にカスタマイズできる収納レイアウトで使用工具や場所を選ばず活用できる。

    なお、工具の在庫管理はいくら先進的な工場でも難しいとされ、「作業時間の15%が工具探しに費やされている」、「在庫の65%は一度も使われない(大体廃棄されてしまう)」といったデータにも言及したが、後者はかつて本紙で何度か取り上げた、いわゆる「死蔵工具」を指すが、これが明確に数字として語られたのは、非常に意義深いといえよう。

  • ユーザー通信231号 2面:Space BD 永崎将利社長独占インタビュー 宇宙を「商売、ビジネスの場」として組み立て独自のポジション確立

    Space BD 永崎将利社長独占インタビュー


    「宇宙が持つ無条件のワクワクドキドキ」を最大限活用した教育事業も展開

    ―そういう意味では、永崎社長のいう「新しい産業をつくる」という野望、野心のような由来は、おもしろいフェーズだと思います。

    永崎 米国ではNASA(アメリカ航空宇宙局)からの発注には定価で売って、しっかりマージンがとれるような形があって、その利益を使って民間で商業ベースで売る時にはディスカウント幅にしているというような「からくり」もあったりします。NASAに財力があるがゆえに、米国のベンチャー企業のほうが意外に、いかにNASAに刺さり込むかが重要視されているようです。

    (民需の)マーケットで売り上げを立てていくことを基調に考えている私には、米国の人たちからすれば、「あなたは正気なのか? それとも凄いことを考えているのか?」と一時期、いろいろな人の来訪を受けました。中にはNASAの関係者も来て、「あなたは本当は何を考えているのだ? そんなことで(仕事が)回るわけはないだろ?」というような感じでしたが、新産業をつくろうと思っているわけですし、そのあたりの「漠然さ」がチャンスともいえます。そのようなビジネス好きな人は、もっと多いはずです。

    ―漠然としているからこそ、まだ何がどうなるか分からない、「得体が知れないから、おもしろい」ということですが、創業当初と現時点での思いの違い、そもそも『宇宙商社』の由来とは。

    永崎 当社は2017年9月に創業して、もう3年半経ったところです。当初から『宇宙商社』のコンセプトは頭にあって、社名は元々、宇宙商事㈱でと思っていたのが、近しい周囲から「ちょっとイマイチではないか(笑)」との声があって再考し、最初からグローバル展開を想定していたので横文字にすればどうだろうとなった。宇宙とは、Spaceだという人もいれば、Universeという人もいる、Astroなんかもいいかもしれないし・・・

    ―Cosmosもある・・・

    永崎 そうですね、でも一般的にはSpaceだろうとなった。では、商事会社とは何かと考えた時に、トレーディングカンパニーとかではなく、Busines Deveropment(事業開発)を行う会社だと思っていたので、BDと頭文字を並べてみたらカッコよかった(笑)、という感じで決めました。

    結果的にこのコンセプトは良かったと思います。「名は体を表す」ではありませんが、やはりそれに尽きるなと。宇宙ビジネスにおいて、宇宙領域において、ビジネスオリエンテッドでアプローチしている人は、実はまだそれほど多くはなく、プレイヤーは増えているが、対象はどうしてもまだ「技術的」な部類が多い。

    そんな中で当社は、宇宙を「商売、ビジネスの場」として組み立てていくことで、希少価値というか、独自のポジションを取るに至りましたが、業界的に当初公言されていたような数量の超小型衛星が打ち上って、多くのデータ量の様々な裾野が広がる・・・という、そこまでの結果にはなっていません。

     

    ―海外と日本では宇宙ビジネスにおける現状の違いは。

    永崎 米国などはベンチャーキャピタルが勢いよく資金投入していたのが、もう次の動きで、プライベートエクイティファンド(PE=様々な発展段階にある未公開株式の企業への投資)が登場して、買収し統合して、スパック(SPAC=特別買収目的会社)での上場が起きており、日本とは違う動きになっています。

    日本はまだ新しい事業者がどんどん立ち上がっており、ベンチャーキャピタルの投資力が支えている。それが何を意味するのか、米国が先に就航サイクルを回している部分なのか、日本型でチャンスがまだあるのかといった観点もおもしろい。同じアプローチをしても負ける、敵わないと思っているので、何ができるのか。そうはいっても日本のベンチャーも最大の市場である米国に刺さり込むべく米国に法人をつくり、外国人をヘッドに据えるような動きで、米国マネーの流れを取り込む形など、いろいろな分岐があります。

    「裾野を広げれば、新しい知恵、資金、人材が集う」

    ―元々はなぜ『宇宙商社』を、つまり、衛星を打ち上げようと思ったのでしょう。

    永崎 当時(3年半前)、私の感覚だと、それはあまりにも「宇宙」が限られた人にしか開いていなかったからです。もっといろいろなマインドを持った人が参画して、大企業でもベンチャー企業でも大学でも構わないのですが、裾野を広げることで「新しい知恵、資金、人材」が入ってくれば、いろいろな利用方法が生まれ、産業として広がるだろうと。

    ということは、宇宙ビジネスとはまず宇宙空間にものを打ち上げないと始まらないので、そこを「安く、早く、簡単に」を提供できる事業体をつくれば、産業として大きくなるのではないか、事業性においても、そこは皆が通る道だから、そこを押さえておけば強いのではないかというのが、最初の考えだったのです。

    現在の当社は、打上げ受注実績は大きくなっていますが、市場としては思っていたよりも事業として結びついている衛星打ち上げはそんなに多いわけではなく、基本的には実証実験目的での利用です。

    では、どこを突っつけば宇宙産業はもっと広がるのかと思った時に、データ利用というか、「これを打ち上げれば、これだけ儲かる」という、あたり前のサイクルがまだ回ってないので、打ち上げた衛星が価値を生む必要があります。ここにも挑んでいます。

    ―ここであらためて、貴社の展開を整理すると、「国内外での、宇宙の利活用に関する幅広い事業」として、衛星の打ち上げ・国際宇宙ステーションの利活用を主軸とした「ローンチサービス事業」、衛星・部品コンポ開発者を主な対象とする「宇宙機器の輸出入事業」、さらには、宇宙飛行士を1つのロールモデルとした起業家育成・人材教育を提供する「教育事業」、SDGs等と掛け合わせ、宇宙を活用した新たな事業創成を目指す「宇宙利用事業」という4つをベースとしていますが、『商社』が司る教育事業とはどのようなものか、個人的には『宇宙商社』のネーミングに次いで興味がそそられるところです。

    永崎 教育事業には手応えを感じています。これは、宇宙飛行士の心構えは「未知でグローバルが当たり前」のいまの社会に応用できる点がたくさんあることを活用し、JAXA(宇宙航空開発研究機構)様、Z会(増進会ホールディングス/教育事業グループ)様といっしょに、宇宙飛行士の能力定義や心構えなどのノウハウを我々が使わせていただく形で、それを基にした教材プログラムの開発などを手掛けているものです。私は教育事業でスタートした独立だったので、そこがおもしろいことに結び付いてきています。

    「案件が玉石混交する状況を許容できることが当社の価値」

    インサイダーとしてやってきたら、宇宙ビジネスにはいろいろなものが見えて、いま、すごくおもしろくなってきているので、さらにメンバーを増員して次々とビジネスとして回していきたい。そのためには強いチームが必要で、当社はものづくりをしているわけではないので、資金調達をしてチームメンバーを増やしている状態です。

    ということで、3年半前より見えているチャンスはすごく多い。ただ、それらがいつお金になるのかは、まだ分からない。3年で利益化するのか、5年なのか、ひょっとすると20年かかるのか。それは、それぞれ仕掛けている種において、「これは短期でいけるかな、これ長そうだな・・・」といった案件が玉石混交しているからですが、逆に、その状況を許容できていることが当社の価値だと思います。
    これを、一般のビジネスでの「選択と集中」や「一点突破」でといわれてしまうと、こんなにたくさんの種を蒔けないし、勝ち筋はまだ分からない。「だから、おもしろい。だから、腕の見せどころ」でもあります。いま、「どこにチャンスがあるのか?」と、人生でこんなに毎日考えている日々はありませんね。

  • ユーザー通信231号 1面:Space BD 永崎将利社長独占インタビュー 「どこを突っつけば宇宙産業はもっと広がるのか」

    Space BD 永崎将利社長独占インタビュー 「どこを突っつけば宇宙産業はもっと広がるのか」

    昨年11月、経営体制の強化および今後の事業戦略に関する発表を行った、Space BD株式会社(以下、Space BD/東京・日本橋室町)は、国際宇宙ステーションの利活用を中心に、あらゆる産業のプレイヤーへ宇宙の産業化を促進していくためのサービスを展開している(ローンチサービス事業、宇宙機器輸出入事業、教育事業、宇宙利用事業)。

    そんな同社を率いる永崎将利社長の野望、野心とは「日本発で世界を代表する産業と会社をつくる」ことであり、自社を『宇宙商社』と名乗る。本紙ではこの度、機械工具(生産財)業界紙では初となる永崎社長への独占インタビューを敢行。今後数回にわたり対談形式で、「なぜSpace BDが『宇宙商社』なのか?」を紐解いていく―。

    【聞き手=本紙・植村和人】(敬称略)

     

    ―小紙のカテゴリーである製造現場で使用する生産財と呼ばれる工作機械や切削工具は、多かれ少なかれ、ほぼ全ての産業に関わっているといっても過言ではない。決して目立ちはしないものの、ねじ穴ひとつ、1個の部品と、何かしらに関わっているのが生産財という中で、当然、宇宙産業、宇宙ビジネスにもこれからさらに関りが深まっていくはずです。

    永崎 宇宙ビジネスのチャンスは無限大といえど、何をどう突っつけば動いて利益になるのか、まだ本当に分からないので、一見、目先のビジネスには直結しないような打ち合わせからも新しいアイデアが飛び出したり、いかに質の良い情報を集め、事業化するかとなれば、多分、それが「商社の社長」の仕事になるのだと思います。

    昨年11月の記者会見でも話しましたが、戦後から高度経済成長に至るあの隆盛を経て、現在の日本をつくり上げてきたのは、間違いなく、日本ならではの「商社」という機能、ものづくり企業さんとの役割分担があったからこそだと確信しています。

     

    ―ですが時代的には、あるいは世界的に見れば、商社機能とは「中間」「ワンクッション」=時間的にも利益的にも「無駄じゃないの?」といった、どちらかといえば淘汰、排除されがちなイメージが強い中、むしろ、もの凄く評価している永崎社長の思い、姿勢に感銘し、今回の直接インタビューに臨んだわけです。

    機械工具、生産財業界においてはまだまだ商社の機能、存在は大きいですし、それに、かつて私が長らく在籍していた出版・書店業界でも、商社の存在が未だに幅を利かせています。

    ちなみに、世間ではよく、「航空・宇宙産業」と纏めた表現が見られますが、私はこの括りに違和感があります。航空と宇宙って全然違うと思うのですが、例えば、セミナーや講演会などでも「航空宇宙〇〇〇」とタイトルされていても、いざ聴講すれば99%が航空の話だったりする。

    永崎 そうですね。

     

    ―だから、これだけ宇宙というカテゴリーがビジネス化し、広がる中では、もう航空と宇宙は完全に分離すればいいと思いますが。

    永崎 それに、経済という切り口で宇宙を見ていった時、宇宙にはまた全然違う顔があります。ただ、まだまだメディアに出てくる宇宙産業とは新しい技術や天文学的な話題が多いですが、私は全然違う「リアル」な部分を見ているので、そこには課題だけでなく、もちろんチャンスもあるわけです。
    先日参加したあるイベントで、「いま宇宙で儲かるフレームワークや勝ちパターンはあるのか?」と問われましたが、第一声、「そんなものはありません」と答えました。勝ちパターンがつくられるのを待っていては、日本は世界に遅れをとってしまうと思っています。

    米国も含めて、どうすればビジネスになるのかは誰も分からない、かといって上手くいってから参入すればもう遅いわけだから、いま、何を根拠にして参入していくのか、本当にビジネスとして考えるのかが、それこそまさに、思想の表れだと思います。

    「2面に続く」

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